国際的な会議や展示会開催の必須条件であるラグジュアリーホテルの誘致に向け、いよいよ本市が本腰を上げる。3~5か所程度誘致できれば都市のブランドイメージの向上につながるほか、リニア中央新幹線開業を控え「魅力と活力にあふれ行きたくなるまち」、「市民が誇りに思えるまち」の実現に大いに寄与するとともに、都市の交流活動を支える都市機能の一つである宿泊施設を積極的に誘導することで、世界的な交流拠点都市の実現に大きく貢献することとなる。
そもそもラグジュアリーホテルは採算が成り立たない事業だ。調度品に多額の費用が掛かるだけではなく、「スイートルームの設置」「平均客室面積45平方メートル以上」「プール、フィットネス、スパ、バー、レストラン等」「車寄せ」などに多額の投資を必要とすることから、ラグジュアリーホテルの整備には1か所300億円もの建設費が必要になるとされている。投資額の回収は極めて困難とされる。
そこでヨコイは、ラグジュアリーホテルの誘致に向けた「補助制度の創設」「容積率の緩和」を名古屋市並びに愛知県に対して求めてきたところ、名古屋市は8月30日の名古屋市会経済水道委員会で誘致に向けた本市の支援策案を表明する運びとなった。なお、支援策の実施は令和2年度から予定している。
■ 建設費補助(県市で20億円)
ラグジュアリーホテルを建設する事業者に対し、愛知県・名古屋市は共同で補助事業を実施する。補助額の上限は愛知県、名古屋市それぞれ10億円ずつの合計20億円。建設費や調度品の購入費などの経費10%分までを補助する。申請期間は令和2年から3年間、補助金は10年分割で支給する仕組みだ。なお、補助金はただちに固定資産税(建物)として回収する。
■ 容積率を2倍緩和(全国初)
名古屋市は令和2年度から、ラグジュアリーホテル向けの容積率を緩和する。一般のホテルですでに適用されている容積率の割り増し分を、市が認めるラグジュアリーホテルに限り2倍に引き上げる。緩和された容積率でより多くの賃料収入を得ることができれば、ディベロッパーの採算が改善されラグジュアリーホテルの誘致を促すことになることが期待される。
■ 整備候補地
ラグジュアリーホテル整備にあたっては「場所」が極めて大きなファクターとされていることから、名古屋市はラグジュアリーホテル整備候補地として、6~7か所程度リストアップ。事業者に情報提供する考え。
8月30日に実施する名古屋市会経済水道委員会で、ラグジュアリーホテル誘致に向けた愛知県・名古屋市の支援策を所管事務調査の中で公表するが、質疑の中で、なぜ誘致に取り組むのか、その事業効果など突っ込んだ議論が期待される。