名古屋市財政局資産経営戦略室で取り組みが進む「フリーアドレス」を取材した。
市財政局では令和2年度より、保有資産量の適正化と公有財産の総合調整機能の一層の強化に向け、「管財課」と「アセットマネジメント推進室」を統合して新たに「資産経営戦略室」を設置した。
しかし、旧「管財課」と旧「アセットマネジメント推進室」の統合による情報共有や連携の不足、スペース不足からくる打ち合わせや議論、創造の場の不足が課題となり、これまでの常識や観点にとらわれない常時情報共有や議論しやすいゾーンニング、職員配置などの解決が求められた。
そこで、「資産経営戦略室」では、財政局の働き方改革の一環として、職場環境の改善とともに室内の連携強化や意思決定の迅速化を図るため、若手職員からのアイディア、工夫を取り入れ、執務室のレイアウト変更と併せて「フリーアドレス」を導入した。
■ フリーアドレスとは
職員が一人ひとりの「自分の席」を持たず自由に働く席を選択できるオフィススタイル。従来のオフィスは、決められた位置に机を配置し、一人一台ずつ机が与えられ、その与えられた机で働いていた。フリーアドレスではその「自分の席」という概念をなくし、空いている席や自由な場所で働くことができる職場環境を実現する。それがフリー(自由な)アドレス(所在)。
■ フリーアドレスのメリットとして・省スペース化
・チーム編成が容易・決断のスピード・コミュニケーションパフォーマンスが高くなる
・スペースソリューションに繋がる
・コラボレーションの促進
・環境美化など。フリーアドレスになり「自分の席」がなくなることで、自分の所属や立ち位置が不明確になったり、自らの部署における帰属意識が薄くなったりすることを避けるため、モバイルロッカーに自分自身の名前を記載したり、自らの写真を掲載することで、「自分はこの部署に存在している」という帰属意識を高める。■ フリーアドレスの導入で期待される効果
「自分の席」に閉じこもり、狭くなりがちだった人間関係が、フリーアドレスの導入によりコミュニケーションをとる人が流動的になるとともにコミュニケーション力が必然的に高まる。人間関係も広くなり、新たなイノベーションを生む重要なツールとなることが期待される。
■ フリーアドレスの必需品「かばん(モバイル引き出し)」
フリーアドレスでは決まった机がないため、筆記用具や名刺入れ、メモ帳や書類ホルダーなどを持って移動する必要から、筆記用具が詰まった「かばん(モバイル引き出し)」をもって移動する必要がある。かばんのなかには、本来、机の上や引き出しの中に入っていた備品が整理整頓され、入れられている。