市長も担当職員も全くわかっていない

IMG_08056月21日午後2時から開催された文化審議会文化財分科会において、すでに名古屋市が文化庁に提出していた「名古屋城現天守閣の解体にかかる現状変更許可」の申請は、同申請を詳細に審査するはずだった第三専門調査会の延期により、取り扱われなかったことがわかっている。

現状変更許可が出されたなかったことに対し河村市長は、「今後は工期の見直しを含め、天守閣木造復元の実現に向け、竹中工務店、文化庁、地元の有識者と協議を進めてまいりたい。」と説明。記者会見に集まった記者に理解を求めた。

しかしこの期に及んでまだ、「工期の見直し」なのかと正直愕然とした。

20222年がダメなら,たとえば2026年に「工期の見直し」をするといったもはや段階ではないことに、未だに気がつかないのか。

そもそも文化庁や石垣部会は、2022年という「工期」に縛られ、貴重な文化財である天守台の石垣の保存計画をなおざりにしている名古屋市の姿勢に対し疑念を抱いているのである。今日まで文化庁から出された「宿題」や「石垣部会」の先生方のご意見はまさにそこに集約している。にもかかわらず、これここに至ってもまだ「工期」「工期」と叫ぶ市長を見て、結局、河村市長も担当職員も、何にもわかっていないんだと痛感するとともに、もうこの人たちでは天守閣の木造復元は無理だと感じた。

もう私自身も限界をこえた状態。今後、いかにこの問題に向き合うべきなのか、引き続き石垣部会の方々を含めた関係者の皆様と話し合いたい。

■ 河村市長記者会見メモ(令和元年6月21日)
記 者:幹事社の読売新聞ですが、文化庁からどういった連絡があったのかまず教えてください。

市 長:今配ったけれど、持っていますか。市民の皆さんにも正確に言わないといけないので文章で言いますと、市長コメントということで、先ほど、文化財保護室の担当者から、引き続き第三専門委員会において審議する必要があるため、本日の文化審議会において議題とならなかったことを電話で確認した旨の報告がありましたので、お知らせいたします。
現時点において、許可・不許可の結論が出ているわけではありませんが、第三専門調査会で継続審議となり、文化庁からは、今後の見通しはお示しできないが、丁寧かつ速やかに結論を得たい旨の発言をいただいております。本日の文化審議会で答申をいただけなかった以上、解体工事の着手にさらなる遅れが生じますので、天守閣木造復元の実現に向け、竹中工務店、文化庁、地元の有識者との協議を進めてまいりたいと存じます。あくまでも本事業は、史実に忠実に天守を木造で復元することに大きな意義があり、市民との約束でもあるため、その目的を達成するために最善の道を選択していきたいと考えております。まあ以上でございます。
 
記 者:22年12月の完成期限についてはどうされるおつもりですか。
 
市 長:どうするって、これは議論をしまして、まあ主に竹中さんですけど、そこら辺のいろんな見通しがそこで示されると思いますけど。まあ言っときましたけど。なんですか、さらなる遅れが生じますので、ということで、吸収できるのかできんのかというのは、竹中さんのスケジュールはそのままこうやって動くわけですけど、まあそこで議論されるだろうというところでございます。
 
記 者:その22年12月は、これまで死守するというお話をされてきましたけど、それがずれ込むことはやむを得ないというお考えですか。
 
市 長:やむを得ないというより、いろんな話しますんで、しかし僕は最後の最後まで議会と約束しておりますんで。これはこれで追求するという気持ちはありますよ。
記 者:現時点ではそれはまだ守りたいというお考えですか。
 
市 長:僕はね。だけど現実的に竹中さんの方から、まあそのスケジュールの話が出てくる可能性もあると、まあこういうことです。
 
記 者:これまでの議論だと、竹中との協議は、具体的に復元の見通しが立たないと協議に入れないという答弁があったと思うんですけども、この時点で協議に入れるんですか。
 
市 長:いやもう、それはそれで、調査委員会できちっと継続審議にかかってますので、これは。それで向こうさんから、こういうふうに言われてますんで、それはそれで話さないといかんのじゃないですか。竹中さん、文化庁、それから地元の有識者の皆さんと話をするということで。
 
記 者:22年12月に間に合わせようと思った場合ですね、最低でもその解体許可をいつまでに取らないといけないというお考えですか。
 
市 長:解体許可というか、まあそれはこないだのスケジュールで、いつごろだった、それは。最低というか。
 
当 局:議会には、5月か6月にやっぱり許可をとることが一つなので。
 
市 長:5月か6月にな、前から言ったのはね。だけど今回の調査を言われとるのも、あんま言ったらいかんけども、どっかのさらに調査してくれと、短くすめばそれだけのことだしね。わしちょっと竹中さんでにゃあもんで、直接話はしとりますけど。そういう話ですから。
 
記 者:当初というか、今月に許可をとる予定でずっとやってきたかと思うんですが、改めて今月とれなかったことに対しては、市長今はどういうふうに。
 
市 長:しょうがにゃあがね、これ。全力投球しとるやつを。まあ要するにこの名古屋城の天守の木造化という、世紀の大仕事なんですよ、これ。夢物語だったの、本当にこんなの。無いでしょ、世界中にこんな巨大な木造建築物を、空襲で燃えたのをまた復元するというのは。だから、まあ、そのためには、いろんな生みの苦しみがあると。だで僕の印象では、ちゃんと向こうも従事して第三調査委員会で、ちゃんと今の継続審議となっていますんで、まあエベレストの山は険しいけど、ずっと登ってきてだいたい山頂が見えてきたんでないかという認識でおりますけどね、僕は。
 
記 者:第三専門調査会ということは、次は10月ということですか、最短で。
 
市 長:いやいや、そんな話ではにゃあですから。
 
記 者:それは、確認取れているんですか。
 
市 長:まあ、あんまり言ってくれるなということになっとるけど、そこのコメントは、ここです、文化庁からは今後の見通しはお示しできないが、丁寧且つ速やかに結論を得たい旨の発言をいただいております。ここに万感こもっておりますんで、ここの中で解釈してほしいと。
 
記 者:いまちょっとおっしゃった、調査しなければというのはどういう話ですか。
 
市 長:まあもうちょっと、その考古学的な調査を進めてくれという話があり、それはこっちはレポート出したんですよ、全部。こういうふうでやりますよと。
 
記 者:せんだって、追加で回答を求められた中で、そう言われたんですか。
 
市 長:そうそうそう。
 
記 者:それをやればクリアできる可能性というのが。
 
市 長:私はそう思いますけど。向こうから言われたやつですから。えー向こうから言われたやつで、それをちゃんとこなしたレポートを出してありますけど、まあこういう向こうからすれば、もうちょっと議論と言いますか審査させてちょうだいということですね。
 
記 者:それはどれくらいで調査できて報告できるものなんでしょうか。
 
市 長:まあそこですけど、わしは一刻も早くやってもらわんといかんと。だけど、丁寧かつ速やかに結論を得たいという旨をおっしゃられておりますんで、まあそれを信じてやっていくということですわ。
 
記 者:その上で、石垣部会の了承を取る必要があるんですか。
 
市 長:石垣部会の了承はなんにも言ってませんから、文化庁からも。石垣部会っていうのは名古屋市の部会ですよね。竹中案もすごい案なんですよ、天守作ってから9年もかけて45億もかけて、作ってからさらに石垣を丁寧にチェックするわけですよ。そちらの方を選択した訳ですよ、名古屋市も議会も。技術提案交渉方式というやつ、それは。
 
記 者:第三専門調査会で、継続審議になっているということについては、以前グッドニュースを待っているとありましたけれども、そのときと前進しているのか後退しているのか。
 
市 長:前進しているんじゃないですか。全体からすると。こんだけの巨大な、世界の大事業ですよ。世界の文化遺産の。僕にも文化庁さんが言っているけど、これだけの大事業だということと、あとこれから、戦争で燃えた7つだったかな、天守の復元が続いてくるわけですよ。どこまで復元できるか知らんけど。図面がこれだけあるのは名古屋だけですけどね。だからやっぱり、丁寧に。そこは分かってください、というのは文化庁さんが言っていますので。そういう気持ちで、それはうちもやっていかなければいかんよね。
 
記 者:もう1点確認なんですが、今日新たに、こういうもので調査して出してくださいと言われたものはあるということ。
 
市 長:それはありません。だろう。今日の時点ではないでしょう。今日の時点でこれを新たに調査してくれといったのは。
 
当 局:無いです。
 
市 長:それは無いですよ。ありません。
 
記 者:竹中から新しい工程が出てきてですね、スケジュールを考えるとなったときに、今開会中の議会の中では間に合いそうなんですか。
 
市 長:それはどうですかね、なるべく早くやると。なるべく早くやるしかない。集まってもらって。文化庁さんも入れて、竹中さんがおらないかんですよ、そこに。大事なこと。実際にやる人が。
 
記 者:それは協議の場を設けるイメージですか。
 
市 長:ああ。(終わり)
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横井利明
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