ひとり暮らし高齢者の孤立死 (1)

少子高齢化の急速な進行と近所付き合いの希薄化や過度なプライバシー意識などから、高齢者の孤立死が大きな社会問題となっている。

名古屋市では、平成25年度より市内の新聞販売店と、孤立死の世帯を発見した場合等に、各区役所に連絡していただく協力協定を結び、救助にも至っている。また、民生委員・児童委員による見守り活動やいきいき支援センター(地域包括支援センター)の見守り支援員による見守り訪問・電話などが実施されている。

■ 民生委員が把握した自宅でひとりで死亡されたひとり暮らし高齢者の死亡者数
平成25年度 250人
平成26年度 295人
平成27年度 288人
平成28年度 298人
平成29年度 309人
平成30年度 350人
令和元年度 300人

しかし、そうした取り組みがあっても、なかなか減らないのが、誰にも看取られずに息を引き取り、周囲に気づかれずに放置され、ご遺体が腐敗し近隣に悪臭が漂うという事案。残念だがこうした事例は決して少なくない。

この8月末にも南区の某学区内の某町内で、こうした事案が1週間で3件発生し、近隣住民が疲れ果ててしまったことがあった。

■ 某町内の事例
近隣に腐敗臭が漂っていたことから、13日分の新聞のたまっていた住宅内に警察が立ち入り。ひとり暮らしの高齢男性Aさんが亡くなっていたのを発見。警察により現場検証した後、事件性がないとしてご遺体は警察が引き取った。しかし、ご遺体から出た大量の体液にウジが発生し、住宅内外はハエで真っ黒。もちろん悪臭もきつかったため、学区の民生児童委員協議会長さんは、生活保護の担当者、保健センターに相談。しかし、個人の住宅内であり手出しができないといわれた。

そうこうしているうちに、町内で2人目の高齢者Bさんの孤立死が発生、そして3人目のCさんは脱水症状で生命の危険な状態でやはり発見された。すでにこの時点でご町内の住民は疲れ果てていた。

その後、住民からヨコイに相談があり、現地等調査した後、保健センターの職務に悪臭などの公害対策・ハエなどの害虫駆除があることから保健センター長へ相談。保健センター長らは住宅内へ立ち入り、南環境事業所長らとともに、悪臭のもとなっていた体液を吸った布団やカーペット、ムシロ等を回収。また、ハエなどの害虫駆除とともに、消毒処理に取り組んだ。おかげで、付近の悪臭やハエ問題は一気に解決した。保健センター長のご英断と環境事業所長のご理解ご協力には心から感謝している。

しかし、今回はたまたま保健センター長の英断で問題は解決に向かったものの、本来、遺品処理をすることができるのはご遺族のみ。行政や大家さんには私物である汚れた布団などの遺品処理をすることは法的にも困難だ。したがって、死後相当期間、悪臭の処理等が進まず、遺品整理にも手が付けられないといった事例が後を絶たない。(つづく)
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横井利明
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