停滞してしまった名古屋城天守閣木造復元事業を動かすには…
停滞してしまった名古屋城天守閣木造復元事業を動かすには…
「2028年の天守閣木造復元完成を目指す」という根拠と実体のない市側の決意だけがむなしく響く名古屋市会本会議。しかし、文化庁から要求された課題はほとんど手つかずのまま。むしろ、完全に停滞してしまった感すら漂う名古屋城天守閣木造復元事業に対し、業を煮やした浅井正仁市議(中川区:自民)が、ついに河村市長並びに観光文化交流局に支援の手を差し伸べた。
浅井が取りまとめた名古屋城天守閣木造復元事業をうごかすための条件は以下の3点
■ 市長並びに観光文化交流局が取り組むべき課題
〇 名古屋城の史跡価値を高めるためには...
文化庁から求められている「名古屋城の史跡価値を高める検討」には、石垣、庭園、本丸御殿、天守閣、それぞれの保全や復元の時代設定、さらには付帯する茶室や藩主の退路などといった史実なども含めて、単に天守閣などを、「木」として見るのではなく、名古屋城という「森」全体を見渡して、それぞれの「木」をプロデュースしていくことが必要だ。哲学を持って史跡名古屋城全体をプロデュースした文化財の保全と復元の考え方が欠けている。名古屋城全体の史跡価値を高める保全・整備・復元のあり方を議論することが必要だ。しかし、市長並びに当局は、天守台石垣の保全と木造天守閣の復元で名古屋城の史跡価値を高めていくとの考えにとどまっており、これこそ迷走の大きな原因となっている。
〇礎構造の検討
「史実に忠実」と「文化財の保全」、この双方を両立することが求められているが、基礎構造の検討が全く進んでいない。
〇 バリアフリーの検討
文化庁では、天守閣などの復元について、先日、新たに「復元的整備」という考え方が示されたが、この意味をよく考えれば、おのずと答えが出る。障害者団体の方々と打ち合わせをしているのに、未だに結論が全く出せない。文化庁にも何の相談にも行っていない。
そして、さらに文化庁の要求は続く。
・搦め手・庭園・内堀・御深丸の調査
・特別史跡内での遺構のき損事件への対応
こうした課題をすべて解決し資料として取りまとめた延長に、来年5月に開催される文化審議会があるのだが、解決しなければならない課題が多すぎ、一方で期限に追い立てられ、何から手を付ければいいのか、名古屋市はもうわからなくなっている。