昨年実施された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ表現の不自由展」では、昭和天皇の御影を燃やしたかのような映像や、慰安婦像とされる展示が行われたことに関し、私自身は極めて不愉快であり、この愛知で展示がなされたこと自体、残念なことだと感じている。昭和天皇の御影を燃やしたかのような映像は「天皇陛下の戦争責任を問う」といった政治的な主張に過ぎず、芸術であるとも到底思えない。
さて、高須克弥先生が、あいちトリエンナーレにおける企画展の展示内容を主な理由として大村秀章知事の解職請求運動をおこない、応援団として河村市長も街頭に立ち、県民・市民の皆さんにリコール署名を呼び掛け、43万人もの署名を集め、先般、高須院長によりリコール運動の終結宣言が行われたところ。
この運動に対して、純粋にリコール運動に共鳴し、愛知県のため、そして子どもたちにいい社会を残したいとの思いで純粋に活動されたボランティアの方々市民の方々も多かったと思うし、高須克弥先生が命を懸けてこの国を守ろうとしたその姿勢に共鳴した方が多かったというのが、私の率直な印象だが、リコールの是非論は今日は触れない。
残念なのは、知事解職請求を中心的に行ってきた、まさに内部の方々から、SNSで「不正署名」に関する様々な情報が連日のように発信されていること。もし仮に、組織的・意図的に署名が偽造されているとすれば、直接請求制度に対する信頼を根底から損なうとともに、署名偽造罪にも問われかねない事態。
さて、受任者Aさんはツイッターで、「署名簿から大量の不正署名を発見。警察署に告発状を提出しました。署名簿の中に、同一筆跡同一の署名がありました。上記の署名はおよそ半数にのぼり、受任者個人の犯罪ではなく、組織的行為である可能性が高い。」
請求代表者Bさんはツイッターで、「中川区、江南市、津島市約6割の不正を確認。」また、Bさんはある市町村では不正署名の割合は8割にのぼっていたとの証言をしている。
また、リコール事務局ボランティアの方々にも控室までご足労いただき、複数の議員で直接聞き取りをおこなった。ボランティアCさんの直感では「不正署名の割合は50%くらい」、ボランティアDさんは「30%くらい」との感想を述べておられた。
さて、ここで問題となるのは、同一筆跡で多数の方々の名前を書いた場合の市選管の対応。私から名古屋市選挙管理委員会に確認したところ、「私たちでは筆跡鑑定はできない。」と回答。つまり、ひとりの人が1,000人の方々の名前を本人に無断で署名した場合であっても、氏名、住所、生年月日、押印または拇印の条件がそろっていれば、有効とせざるを得ないとの見解を示したものだ。要件がそろっていれば、同一筆跡であっても偽造署名は「有効」となる可能性が高そうだ。
他人の名前を無断に利用し、膨大な数の署名を行っても有効となる選挙管理委員会の見解を知りえる立場で、また、多数の名簿を所有するものが、今回の直接請求制度の盲点を突いた制度の悪用を組織的に行った可能性が否定できない今回の事案について、高須克弥先生とともにリコール運動を主導した河村市長さんに、署名を偽造された方にお心当たりはないか見解を尋ねた。
■ 河村市長答弁
「断言しておきますけど、うちの事務所とかそんなものありませんし、ありえませんよそんな関与ということは。」
「河村市長は不正署名に関与していないと私は信じていますが...」と河村市長の関与を否定したうえで質問したのだが、河村市長はやや興奮気味。
また、今回の質問の目的であった「選挙管理委員会と協力し、不正署名の実態を調査し、今後の不正防止に向け、国に制度改正を要望するお気持ちについてもお答えしてほしい。」という質問に対しては、河村市長は「ちょっと僕の権限でもないですしですね、これ、市議会の本会議でこれ、こんなあの人何人かいいに行かれたかわかりませんけど、それはまじめにやった人おるかもいろいろ、ほんだで、それはちょっとひどいんじゃないですかそれ。それは私はそんなこと答弁させるというのはと思いますよ。ほんで、もう一つあれやっとるんでしょ。今警察がやっとるんでしょ。警察へ。警察がどうか知りませんけど、両方訴えたり、訴えられたりしてやっとるんでしょうこれ。そうらしいですよ、私聞いているのは。いやいや捜査機関がやっとるんであった、真実は明らかじゃない。何が問題なんだ、何を言っとるんですか(原文まま)。」
再び不正な署名がなされない、または不正な署名があったとしても無効となるための調査並びに国への働きかけについて繰り返しお願いしたのだが、結局はグダグダの答弁で終わってしまった。直接請求制度は民主主義の根幹。適切に運営されるよう名古屋市会としても制度改正や国への働きかけなど努めていきたい。