あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由・その後」
あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由・その後」
あいちトリエンナーレは、平成22年から3年ごとに開催されている国内最大規模の国際芸術祭。主催はあいちトリエンナーレ実行委員会。本年で第4回目を迎える。
あいちトリエンナーレ2019では、国内外から90組以上のアーティストを迎え、国際現代美術展のほか、映像プログラム、パフォーミングアーツ、音楽プログラムなど、世界最先端の芸術作品を展示している。
■ あいちトリエンナーレ2019の概要
会期:令和元年8月1日から10月14日
会場:愛知県芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市美術館
テーマ:情の時代
芸術監督:津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)
しかし、昭和天皇の写真を燃やしたかのような映像や、慰安婦像が展示されているとの指摘がネット上などに流れ、事実上の主催者である愛知県や負担金を出している名古屋市に対して、苦情電話が鳴りやまない状態となってる。そして批判の矛先は、協賛企業にも向かっている。
これに対しあいちトリエンナーレ実行委員会は、「昭和天皇をモチーフやテーマにした作品ではなく、また、慰安婦像との指摘の作品についても慰安婦像ではなく平和の少女」であると説明しているが、事態を重く見た自民党愛知県議団は、2日午前、緊急の執行部会を開催。対応を協議した。また、河村市長も8月2日に愛知県芸術文化センターを視察。直ちに昭和天皇の写真を燃やしたかのような映像や、慰安婦像とされる作品の撤去を申し入れた。
さて、何が問題なのか。もちろん、昭和天皇をモチーフにしたと多くの方々が感じるような作品を展示していること自体が不敬であるばかりでなく、写真がだれであろうと写真に写った人間を燃やすなど許される行為でない。ましてや、特定の政治的な思想をもって作品を展示しているとすれば、税の支出として適切さを欠くとの指摘は免れない。
■ あいちトリエンナーレ2019実行委員会運営経費 12億6,590万円
内訳
・愛知県負担金 7億8,621万円
・名古屋市負担金 2億1,468万円
・入場料収入 1億9,600万円
・助成金・協賛金収入等 6,900万円
※ 平成29年度・30年度分含む
■ あいちトリエンナーレ2019実行委員会
会長 愛知県知事
会長代行 名古屋市長
副会長 名古屋商工会議所会頭、中部経済連合会会長
委員 名古屋商工会議所専務理事、中部経済連合会専務理事、中日新聞社長、NHK名古屋放送局局長他
■ 経緯
・あいちトリエンナーレ2019実行委員会事務局は4月に入ってから展示内容の詳細を把握。この時点では名古屋市には展示内容についての情報提供はなかった。
・開幕10日前(7月22日)に、愛知県トリエンナーレ推進室主幹が名古屋市役所に来庁し、展示内容に平和の少女像が含まれる旨を名古屋市観光文化交流局文化振興室長に情報提供。この時点では名古屋市長には、平和の少女像が含まれる旨の説明はしなかった。
・市は開幕前日となる7月31日の内覧会で、平和の少女像などの展示内容を確認した。
芸術監督の思いとかけ離れ、議論は日韓問題に発展しているようにすら映る。「昭和天皇をモチーフにしていない。慰安婦像でなはい。」としても、そのように受け止めていない国民が多い以上、事態の収拾に向け、関係者が適切な判断をすべきだろう。このままでは、芸術に対する不信ばかりか、あいちトリエンナーレの存続問題に発展しかねず、私たちとしても先行きを危惧している。