河村市長が「議員特権」「公的年金に比べて優遇されているのは不当」「廃止する」として徹底批判してきた国会議員互助年金。民主党時代には、2度にわたり廃止法案を提出。国民の批判を浴びるところとなり、小泉内閣によって2006年4月1日に廃止された。しかし、制度廃止時に在職期間が10年以上あった議員は、従来の15%減となる年金を受け取るか、納付金の8割を一括返還(一時金)で貰うかどちらかを引退時に選ぶことができた。
■ 国会議員互助年金額
・在職年数10年で年412万円
・在職1年増える毎に年額8万2400円増
・現在、年金額は15%カット
・公費負担100%
・65歳から支給
・河村市長の在職年数は16年余
「国会議員年金は議員特権」として批判してきた河村市長が議員年金を受給しているという通報を受け、河村市長の所得等収支報告書を拝見したところ、「旧国会議員互助年金法に基づく普通退職年金等」と記載されていることを確認。河村市長が議員年金を受け取っていることを知った。
その後、衆議院事務局に「国会議員年金は強制的に支給されるものなのか。」とお尋ねしたところ、「退職5年以内に申請がなければ受給資格はなくなる。」との回答をいただいた。つまり、河村市長はわざわざ議院事務局に対し、自らが議員特権と批判してきた議員年金をと請求し、受け取っていることになり、議員特権を自らの意思で享受していることがわかった。
しかし、ヨコイの指摘に対し、河村市長からクレームが入った。
■ 河村市長の反論
衆議院事務局議員課に確認したところ、
・旧互助年金は、在職10年以上の国会議員を対象とし、退職により受ける権利が発生する。
・権利発生後、公職にあるものが、互助年金を請求しないことで、時効に係らしめた場合、国への寄付行為とみなされ、公職選挙法第199条の2に該当する可能性が排除できないのではないか。
ただ、河村市長の説明にはいつも、誤りや間違いが多いことから、互助年金を請求しないことで時効になった場合、本当に国への寄付行為とみなされるのか、ヨコイはあらためて確認させていただいた。その結果、寄付行為に当たらないという国会答弁が見つかった。
■ 請求しないことで結果として辞退した場合、公職選挙法上の寄附禁止には抵触しない。
第百七十一回国会衆・総務委平成二十一年一月十三日(抜粋)
〇 萩原委員(略)
また、二点質問しますけれども、一つは、定額給付の辞退というものが、大臣も含めて、まあ大臣はおもらいになると言っておられましたけれども、野党の方々はどうかわかりませんが、辞退をすることが、公職選挙法上の寄附行為にはならないんだと思いますけれども、この点はぜひ確認をしたい。(略)
〇 門山政府参考人
定額給付金の辞退と公職選挙法百九十九条の二の寄附の禁止の関係につきまして御説明申し上げます。
定額給付金につきましては、住民が市町村に対して申請を行うことによりまして初めて給付を受けることができる、こういう仕組みになっているものと理解いたしております。そういたしますと、公職の候補者などが申請を行わない結果として定額給付金を受け取らないということは、公職選挙法上の寄附禁止に抵触するものではないというふうに考えられるわけでございます。
一方、公職の候補者等が定額給付金の給付を一たん受けました後にこれを市町村に自主的に返納されるということになりますと、これは当該市町村に対する寄附に該当いたしますし、当該市町村がその公職の候補者の方の選挙区内にある者に当たる場合には、公職選挙法第百九十九条の二の規定に抵触するというふうに考えられるところでございます。
■ まとめ
河村市長自らが特権と批判してきた国会議員年金について、国会議員互助年金を請求しないことで時効(5年)になった場合、公職選挙法上の寄附禁止に抵触するものではないとの国会答弁が確認されたことから、河村市長は再び誤った説明(いいわけ)を記者会見で展開した可能性が出てきた。議員特権として批判してきた議員年金の受給は、河村市長を信じ支えてきた多くの国民や有権者の期待や願いを欺く行為。政治家としてもはや失格と断じざるを得ない。