今回の名古屋市会議員選挙を振り返り、自民党としての総括をしなければならない。まずは私見から。
1. 減税日本の躍進を許してしまったこと
毎回、選挙直前になると持ち出してくる議員報酬800万円問題。「有権者の中には議員はだれがやっても同じ。だったら安い方がいい。」「議員が800万円ももらうのはけしからん。」など、さまざまな感情が渦巻いているのは事実。私もできる限り議員の活動を伝えることができるよう、日々のブログ更新や毎月7回程度発行する広報紙、ユーチューブを活用した広報、タウンミーティングなど、さまざまなツールを活用して議員の活動について市民の皆様に報告をおこなっている。また、議会としても議会だよりの発行や本会議、委員会の議事録の公開などつとめている。しかし、議員活動への理解がなかなか広がらないのが実態だ。
また、直前に発覚した減税日本の議員に対する暴言・暴行疑惑。もちろん、暴言・暴行は許されるわけもないが、繰り返し河村市長が記者会見を開いたりしたことで、減税日本への同情論が今回の選挙に大きく影響し、結果として減税日本の躍進を許してしまったことは、わが党のわきが甘かったと深く反省しなければならない。
ただ、最も大きな要因は、既存政党に対する不信感とともに、新しいなにかに期待する民意が強い流れを生んだと考えるのが妥当だろう。
2. 守りの選挙
定数が7減するという事態を受け、自民党市議団は現有議席の22人しか公認しなかった。しかし、結果論ではあるが、さらに4~5人程度は自民党議席を獲得できた可能性がある。次回選挙ではさらに分析を進め、マーケティング戦略を練り直す必要がある。
3. 戦略の不存在
「自民党は自分党」と揶揄されることがたびたびある。「自分の力で選挙に勝ってこい」といった雰囲気が未だある。確かに選挙は個々の議員が努力して乗り越えるべきものだが、党としていかに選挙戦全体を有利に展開し、党全体の票の底上げするのかといった戦略が自民党には欠落している。その点、大阪における維新の改革イメージや名古屋における減税日本の河村市長キャラなど、個々の努力より党としての戦略で結果を出している。ベストミックスをどう求めるのか、戦略のあり方の検討が必要だ。
4. 人材の発掘
自民党が、名古屋市や党を支える優秀な人材の発掘に努力しているようには私には見えない。一方、公募をおこなっても、就職活動のように考えている人材は集まるものの、これだという人材が集まらないのも事実。優れた人材はなかなか議員には出たがらないという現状の中、この国や地域を支える人材へのアプローチについて検討する必要があるだろう。
総括とは関係ないが、議会への多様な人材の調達をしながら感じていることをひとつ。誰もが議会に参加できる仕組みの構築が急務だと感じている。
サラリーマン・公務員の方が議員に立候補するハードルは高い。仮に立候補する場合には、一般的には会社等を退職して出馬する。しかし、選挙に当選する保証はなく、落選すれば家族全員が路頭に迷う。当選したとしても任期は地方自治法により4年だけ。 次の選挙に当選する確証もなく生活は非常に不安定。したがって、「会社を辞めて議員になる。」と家族に相談しても、多くの場合は家族の理解は得られない。結果、仕事をしていない人や国会議員の秘書、世襲の人が選挙に臨むことになる。それでは、議会があらゆる市民の方々を代表した存在とは言い難く、また、優秀な人材を調達するのも困難だ。在職中は会社を休職でき、議員を辞めれば、職場に復帰可能な制度改正が、多様な人材の議会参加を促進する。