名古屋城天守閣2022年木造復元は期限を定めず延期へ

ついにこの日が来た。

「2022年断念」。

8月29日夕、河村市長は緊急記者会見を開催。2022年末までに名古屋城天守閣を木造復元する計画を断念すると発表した。すでに「名古屋市総合計画2023」を所管する総務局は、市長会見に先立ち、「名古屋市総合計画2023」原案では、令和4年度 天守閣木造復元竣工としていた目標を、9月3日に公表される「名古屋市総合計画2023」議案においては、竣工目標時期を削除すると報告があったばかり。

さて、そもそも名古屋城天守閣木造復元は、東京五輪のある2020年7月末までの完成を条件に技術提案を公募している。竹中工務店と安藤・間の2社が応じ、専門家らが工期達成や事業費縮減の工夫、バリアフリー、木材の調達方法などで採点し竹中工務店を選定。その後、公募条件である2020年は突然2022年に変更され、さらに今回期限を定めず延期。技術提案交渉方式自体の正当性も揺れていると言わざるを得ない。

また、今日まで、名古屋市観光文化交流局は、議会に対し「名古屋城天守閣2022年木造復元」を前提に、さまざまな議案の議決を求めてきた。当然、議決は2022年を前提としたもの。また、竹中工務店と名古屋市の基本協定も2022年末完成とされている。さらに、木材を調達する請負契約に関する債務負担行為も2022年を前提に議決。2022年断念の影響は広範囲に及ぶことになる。

しかし、2022年木造復元断念は文化庁に対しては「正」に働くことは間違いない。何ら根拠なく2022年という期限を切ったことで、「石垣等の文化財の保全を実施しない名古屋」とのレッテルを張られ、文化庁や石垣部会との間で不信や誤解を招いてきたのは事実。今回、完成時期を明言せず、「期限を定めず延期」としたのは、正しい判断だといえるだろう。

2022年木造復元断念で、新たな一歩を踏み出すことになる名古屋城天守閣木造復元事業。実現に向け、石垣保全など問題山積であることには変わりなく、石垣部会や文化庁等、有識者の意見をどれだけ取り入れることができるかに焦点が移る。
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横井利明
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