8月30日にオープンしたばかりの愛知県国際展示場「アイチ・スカイ・エキスポ」を視察した。
愛知県国際展示場は、愛知県企業庁が保有する中部国際空港島内の開発用地(28.7ヘクタール)に、愛知県が350億円をかけて建設した。運営権は民間のノウハウを生かすためコンセッション方式を採用。ゼネコン大手の前田建設工業とフランスのイベント世界大手GLイベンツ社が共同で設立した会社が、運営権対価提案額8億8,200万円を提案・落札した。運営期間は15年間。
6万平方メートルの展示スペースには、柱のない1万平方メートルのホール(ホールA)と、連結すると5万平方メートルが一体で使用できるホール(ホールB~F)、その他約4万平方メートルの屋外多目的スペースがある。総展示面積6万平方メートルは東京ビッグサイト、幕張メッセ、インテックス大阪に次ぐ国内4番目の規模。現在計画中の名古屋国際展示場4万平方メートルと連携すれば、国際最大規模となる。
■ 保税展示場
新展示場は国内初の国際空港直結型展示場としての機能を有する。日本の展示場としては唯一、関税などを課さないままで、簡易な手続により外国製品を展示したり、使用する場所として設けられた「保税展示場」の常設会場となっている。国際的な展示会、イベント、会議の誘致にメリットがある。
■ 他の施設
セミナールーム等の活用を視野に、30平方メートルから最大800平方メートル、連結も可能な18の会議室を準備している。またフードコートやカフェ、ビジネスセンター、売店、3447台の駐車場などを備えている。また、無線LAN、Wi-Fiも自由に利用が可能となっている。
■ 愛知県産品を多用
エントランスホール及びモールには、県産品による空間演出が施されており、愛知県産杉材「あいち認証材」、小原和紙、瀬戸のレンガ、常滑で生産された磁器質タイルを使用している。温かいおもてなし空間として来場者を迎え入れる工夫がなされている。
■ バーティカルフォレスト
壁を森にする薄層壁面緑化システム「バーティカルフォレスト(吊下式緑化パネル)」を採用。都市の緑化景観と建物の熱負荷低減を同時に達成する技術。専用のパネルは薄層ながら植物の根を自由に伸長させる構造とすることで、樹木の健全な育成を長期間可能にし、美しい緑化景観を実現する。
■ 課題
愛知県担当職員さんによると、現時点での令和元年度における利用率は、面積換算で約20%とのこと。開館間もない時期であり低利用率はやむを得ない点はあるものの、いかに展示会やイベントを誘致するかが焦点となりそうだ。