コロナ禍における選挙ツール「オートコール」

今回の衆議院選選挙は、コロナ禍のもとで迎える初の全国規模の選挙。国内の新規感染者の数は減少しているものの、各陣営はコロナ禍での選挙対策に頭を悩ませる。

コロナ禍での選挙戦の特徴として、箱モノ、いわゆる屋内での個人演説会の大幅な減少があげられる。狭い空間にたくさんの聴衆を集めることは、有権者から見て「この候補ではコロナ対策はできない」といった印象を与えることが懸念されるからだ。したがって、人を集めての演説会は、スーパー前などの街頭や会社の駐車場など屋外で行うことが主流となっている。一方、区役所講堂等など箱モノ会場の場合には、体温測定や手指消毒のほか、窓を開放して空気の流れを作るとともに、演説会そのものの時間短縮を図るなど各陣営ではコロナ対策に知恵を絞っている。

もちろんSNSの活用も盛んだ。ユーチューブやズームを活用した個人演説会の開催は今までなかったもの。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなども多くの陣営が活用しているが、効果のほどは未だ検証がなされていない。

■ オートコール
「電話作戦」の活用は今日まで選挙の必須アイテムだった。しかし、各陣営では密を避ける必要から、各選挙事務所に臨時電話を10台も20台もひき、後援会の方々にお願いして電話作戦を行うといったことが困難になっている。

そのような中、コロナ禍の選挙戦術として注目されているのが「オートコール」。あらかじめ録音した候補者の音声を、選挙区内の電話番号リストへ一斉発信するシステムだ。 メールやDMと異なり、電話ならではの即時性のあるアプローチが可能であるばかりでなく、候補者本人から有権者の皆様に対し直接の訴えができる。また、電話作戦のように狭い部屋に後援会の皆様が一か所に集まって朝から夜まで電話をかけ続けるといった感染上のリスクもない。

ある企業が提供するシステムは、1時間の間に200万世帯に対してアプローチすることが可能だ。有権者が在宅する可能性が高い時間に、または投票日の前日など効果が期待できる日程でピンポイントで発信することが可能であり、コロナ禍における選挙戦術として各陣営で相当数、活用している模様。

今回の衆議院選挙、あなたのところにも「オートコール」を活用して候補者本人の声で訴えが届くかもしれない。
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横井利明
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