3回目接種は2回目接種8か月後でいいのか

新型コロナウイルス感染症の新たな変異株「オミクロン株」が、世界各地で市中感染が広がっていることを受けて、岸田文雄総理大臣は11月29日、全世界の外国人の入国禁止措置を発表した。一部判断の撤回により混乱はあったものの、国民の命を守るという強い意志は伝わってきた。迅速な判断は評価したい。

一方、今回の判断では、「オミクロン株」を未来永劫止めるというよりも、時間を稼ぐという意味合いが強そうだ。決して水際対策はパーフェクトな方法ではなく、ウイルスを1匹も漏らさないということは事実上不可能だからだ。

そこで重要なのが、全世界の外国人の入国禁止措置を講じている間、つまり時間稼ぎしている間に日本は何をすべきかということになる。「オミクロン株」の国内における感染に備え、病床等医療体制の充実や検査体制、まん延防止措置の在り方など様々な検討が必要であることは言うまでもないが、ぜひ政府や自治体には、3回目接種スケジュールを大幅に早める検討を進めてほしい。

以下、その根拠を示したい。

藤田医科大学は、8月25日、新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社)を接種した同大学教職員209名(男性67名、女性142名)の血液中抗体価の調査をおこない、その結果を公表している。

■ 藤田医科大学ワクチン接種による抗体価調査の結果
・2回目のワクチン接種後に新型コロナウイルスに対する抗体が大幅に上昇する。
・抗体価の平均値は2回目接種後に比べて3か月後は大幅に低下
・性別・年代を問わず全ての被検者で抗体価は低下

藤田医科大学藤田医科大学の調査によると、コロナワクチン1回目接種後(14日後)の抗体価の平均は12U/mL。1回目接種では抗体価はあまり上がらないものの、2回目接種後(14日後)には250U/mLまで急上昇している。

しかし、2回目接種から3か月後には66U/mLまで大幅に低下。藤田医科大学は「抗体価の低下がどの程度ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果などの低下を示しているかは今後も研究が必要」と締めくくっているが、2回目接種後のワクチン効果が長くは続かない可能性を示唆している。

このようななか、国は3回目接種は、原則2回目接種から8か月後としているが、2回目接種後、半年以上が過ぎたヨーロッパ等で大規模な感染拡大が続いていることを考えた時、3回目接種少し前の「抗体価が著しく低下した「抗体価空白期間」において、日本においても感染の再拡大が懸念される。国は準備のできた自治体から3回目接種の前倒しも可能との報道もあったが、どの程度前倒ししたら抗体価の空白期間を生むことなく、感染の再拡大を防ぐことができるか、名古屋市においても早急な検討調整が必要だ。

なお、3回目接種による抗体価の上昇についてはさまざまな研究機関で調査が行われているが、一般的には、2回目接種時の5~10倍の抗体価を獲得するといわれている。
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横井利明
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