身体障害や知的障害の有無に関わらず、 生きるために医療的なケアを必要とする「医療的ケア児」。
新生児集中治療室(NICU)等に長期入院したあとでも、人工呼吸器や胃ろうなどで身体の機能を補ったり、痰の吸引や経管栄養をおこなったりしながら生活をしている児童がいる一方、歩いたり、一定のケアがあれば日常の支障の少ない児童もいて、抱える障がいや取り巻く環境、家族が直面する困難はさまざまとなっている。
さて、令和3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」では、基本理念の中で、「医療的ケア児及びその家族に対する支援は、医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ適切に教育に係る支援が行われる等、個々の医療的ケア児の年齢、必要とする医療的ケアの種類及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行われなければならない。(第3条第2項)」とした上で、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有する。(第5条)」と、地方自治体の責務として求めている。
このような規定に基づき、国は、私立保育所や認定こども園等が、医療的ケア児の受入れを可能とするための体制を整備し、医療的ケア児の地域生活支援の向上を図るための「医療的ケア児保育支援事業」を実施しており、私立保育所等が看護師等を配置した場合にはその人件費に係る補助を受けられる仕組みとなっている。
一方、私立幼稚園においては、文部科学省が教育支援体制整備事業費補助金という制度を実施しているが、私立幼稚園に対する補助率は3分の1しかなく、また県の特別支援教育費補助と合わせても私立幼稚園と私立保育所等では大きな差が生じており、制度の利用に大きな障壁となっている。
このように、同じ未就学児を受け入れる施設間において、保育園に通う医療的ケア児には手厚い対応となっている一方、幼稚園に通う児童には制度上十分な支援がないことから、私立幼稚園が医療的ケア児を受け入れた場合においても、私立保育所等と同様、看護等を配置・派遣することができるよう、制度の充実を進める必要がある。
2月28日(水)には、医療的ケア児を幼稚園に通わせている紙谷さん(南区)が自民党控室を訪れ、私立幼稚園が安心して医療的ケア児を受け入れることができるよう、また、申請手続きの簡素化や看護師等の確保に関する支援を実施するよう制度の充実を求めた。
横井利明としてもお子様が通う施設によって受けるサービスに制限がある現状の医療的ケア児の受け入れ態勢について問題があると判断。早速、名古屋市教育委員会とともに、大村知事に制度の改善・充実を要望させていただいた。今後、名古屋市、愛知県は、医療的ケア児の実態調査を進める考えだが、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の趣旨に基づき、1日も早い改善が進むよう、取り組みを求めていきたい。