フランスでは、国民議会で信任投票が否決され、9月9日に退陣したフランソワ・バイル首相の後任に、マクロン大統領はセバスチャン・ルコルニュ国防大臣(39歳)を指名した。2期目のマクロン政権では、実に5人目の首相である。なぜ、このような状況になったのか。石破首相が退陣した日本の政治と共通した課題がある。 2022年6月の国民議会選挙で、マクロンを支持する与党連合は大敗し、過半数を失った。左派と極右が勢力を拡大した。現職大統領の与党が国民議会で過半数割れとなったのは、1997年以来のことである。 2024年7月の国民議会(定数577)選挙では、1位が左翼連合で182(+33)議席、2位が与党連合で168(−82)議席、3位が極右の国民戦線(RN)で143(+55)議席となった。 その結果、3つの勢力のいずれも過半数を獲得できず、「宙づり国会」となってしまった。 フランスは大統領制であるが、アメリカの大統領制とは異なり、第5共和制は、日本やイギリスのように首相がいる議院内閣制の要素も取り入れた。首相の任命権は大統領が持つが、首相は議会多数派から出ることになる。 もし大統領が議会多数派の決定とは異なる政治家を首相に任命すれば、国会で不信任されるので、大統領は議会多数派から首相を選択えざるをえない。 1986年3月〜1988年5月のミッテラン大統領(社会党)・シラク首相(保守の共和国連合)、1993年3月〜1997年6月のミッテラン大統領・バラデュール首相(共和国連合)・ジュペ首相(共和国連合)、1997年6月〜2002年5月のシラク大統領・ジョスパン首相(社会党)という組み合わせである。これを、保革共存続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』
フランスの苦悩・・日本と同じ少数与党で政治不安
