新型コロナウイルスが問う五輪の意義

 15日にIOCのバッハ会長が来日し、菅首相らと会談して来年の大会を開催することを再確認した。周知のように、新型コロナウイルスの感染が大会の開催そのものを困難にし、東京大会は1年延長されたのである。 スポーツを通じて世界平和を希求するオリンピックの意義は大きい。ナチス政権下で行われた1936年のベルリン・オリンピックをヒトラーは政治宣伝に使ったが、この期間中はユダヤ人への迫害を止めたのみならず、ドイツ選手団にユダヤ人選手を入れることすらした。それは、アメリカなどからボイコットされることを恐れたからである。 反ユダヤ主義のポスターなども全国で撤去させ、人種差別のないドイツを強調したのである。聖火リレーや記録映画制作も、実はナチスの発明であった。 戦後になって、1979年12月にソ連軍がアフガニスタンに侵攻したため、1980年のモスクワ・オリンピックは、アメリカ、日本、などがボイコットした。選手の意向とは関係なく、オリンピックもまた政治に翻弄されることを認識させられた出来事であった。 都知事時代には、2020年東京大会の準備に忙殺されたが、その際に「五輪は政治である」ということを何度も思い知らされた。IOCや国や組織委員会との調整、膨れ上がった経費の削減、新国立競技場建設プランの見直しなど続きをみる

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