軽種馬や水産など日高管内を代表する基幹産業はじめ、新型コロナウイルスで和牛農家・花き農家も大きな打撃を受けています。嗜好品・高級品の需要が減っているもと、地域経済・地域社会に与える影響も大きくなっています。
新ひだか町では、みついし農協・しずない農協・ひだか漁協に商工会、新冠町でも商工会と町立国保診療所へ足を運びました。新ひだか町は谷園子町議、新冠町では前町議の武藤勝圀さんが同行してくださいました。雨があがった後に光が差した太平洋や、草を食む親子の馬を眺めながらの移動は日高管内の醍醐味ですが、現実の影響を思うと、風景もなかなか心から楽しめないものです。
みついし農協では軽種馬・和牛生産が盛んなうえ花き農家も多いだけに、この3ヵ月ほどは苦境の連続でした。若い経営者も増えてきたそうですが、見通しがたたないことへ不安も消えません。「ブライダルの時期は、花も牛肉も消費されていきます。ブライダル支援策もできないものでしょうか」との要望も、切実な実態ゆえです。持続化給付金も対象になる農家はありますが一時的で、生産者支援には今後の消費刺激策も確かに必要です。消費税減税は、こういう面からも必要だと実感しました。
しずない農協でも、軽種馬販売ができなければ大打撃になると心配の声が寄せられました。競り市とともに、牧場に足を運んでの庭先販売も今は難しくなっています。半年ほど競り市開催が延びて、半年分の飼育代が増えても、販売価格は変わらない相場なのだそうです。負担が増えては、家族経営での生産者が苦しくなります。全国有数の馬産地だけに、何らかの手立てが必要です。
ひだか漁協では、せっかくの春ウニの時期なのに飲食店での消費もされないため、水揚げしても市場で受け入れてもらえず、前年比で半分近く水揚げは減っています。そうでなくても生鮮類は浜値が安く、加工の際に機械化を促進したり人件費を抑制しても、浜値を引き上げることが難しいとの話は重く響きました。漁業者を支える「積み立てぷらす」は、国の負担を引き上げてほしいと各地で要望を受けますが、今日も指摘がされました。
新ひだか町商工会は、全道で6番目に会員数の多い商工会。一次産業従事者からも融資や給付金についての相談があったそうで、それだけ根ざした活動をされてきているのだと感じました。一方で高齢の会員も多いだけに、持続化給付金のオンライン申請は本当に大変だったとのこと。申請が簡素になっても、まだまだハードルが高い実態も残されています。やっぱり現場から聞かないとわからないものだ、と再認識です。
新冠町商工会も会員すべてに3月時点でアンケートをおこない、業種を問わず影響が出るとのことから、きめ細かい支援を続けてきました。持続化給付金は、メールアドレスをつくるところから始めるなど、具体的な相談が数十件にも及んだそうです。商工会や役場などに相談できなかった方はあきらめたかもしれないと思うと、申請を難しくしないことを次の機会に必ず生かさなければなりません。
新冠国保診療所は特養ホームも併設し、診療所も休日・夜間でもできる限りの診療体制を取るなど、まさに地域に根ざした医療機関です。しかし、新型コロナウイルス対応で衛生資材の発注が増え、対応する人的体制も取ったことから支出は増し、一方で入院・外来とも減少したため、経営の苦しさが続いています。「赤字補てんと言われると、がんばって働いてるのに赤字なのかと言われるのもつらい」との話にはハッとしました。そもそも医療機関はもうけ優先ではないのですから、命と健康を守るための報酬が確保されることなどは当然なのだと学びました。
平取町にも足を運び、鈴木修二町議に取次のお願いもして、平取アイヌ協会との懇談もおこないました。町としてアイヌ文化推進計画を持つ平取町は、昨年成立した「アイヌ新法」下での交付金も活用し、さまざまな施策を具体化しています。今日うかがった工芸伝承館「ウレシパ」でも木彫りの新しい工具や機器類も入り、傍らでは地域おこし協力隊員が編み物などに精を出していました。
要望も含めた話のなかの1つに、文化や技術を学んだ後の、活かせる場づくりがありました。これまでも担い手育成事業などありましたが、全道的な規模で各地に場をつくるとなれば道としての取り組みも必要になります。若い人たちが You Tube はじめ様々な発信にも取り組んでいることや、日高山脈を含めたネイチャーセンターのような形で雇用にもつなげられないかなども話題になりました。
駆け足でまわった1日ですが、どの懇談も中身は濃密で、しっかり国政へ反映させなければなりません。新型コロナウイルス対策は途切れることがないよう、野党会派は共同して明日、衆議院議長へ会期延長を申し入れるようです。安倍首相が追及を逃れるがための閉会など、とても認められません。
【今日の句】足元を 大事にできる 政治こそ