JR東海、名鉄、近鉄に対する要望事項を取りまとめるため開催された「都市活力向上特別委員会」で、ヨコイが取り上げたのは、名鉄名古屋本線連続立体交差化事業に伴う「桜神明社古墳」の一部除却問題。
■ 名鉄名古屋本線連続立体交差化事業の進め方
1. 仮線を構築(この時点で古墳用地を買収し古墳の一部除却)
2. 既設線を仮線に切替え
3. 既設線跡地に高架橋を構築
4. 仮線を高架線に切替え
5. 仮線部分を道路として整備
さて、名古屋市の説明によると、名鉄名古屋本線連続立体交差化事業により、桜神明社古墳は幅10m余にわたって名古屋市が買収。古墳の3分の1程度が除却され、最終的には除却された部分は道路となる計画だった。
一方、8月27日に、鉄道沿いにある桜神明社の氏子総代らから河村市長に対して「昭和47年に要綱から条例に変わる際に何らかの事情により桜神明社古墳が市指定文化財から解除されてしまっているので再指定してほしい」との陳情がなされた。ヨコイも同席した。
河村市長は桜神明社の氏子総代らに対し、桜神明社古墳の市文化財再指定化に向け努力することを約束。また文化財保護室長も、「桜神明社古墳の市の文化財指定の可能性については、文化財調査をしないと確定はできないが、周濠(しゅうごう)などの保存状態は良好で、指定される可能性はある」と応じた。
なお、ヨコイの立場は、「名鉄名古屋本線南区区間の連続立体交差事業による高架化は、地域の悲願であり、早急に進めなくてはならないが、一方で、桜神明社古墳は現在「周知の埋蔵文化財包蔵地」となっており、古墳等を含めた遺構については除却は認められず、高架事業計画は一部工法変更すべき。
併せて、桜神明社古墳が昭和47年以降、市の文化財から外れたままになっており、1日も早く市の文化財指定に向け調査を進め再指定する必要がある。なお、古墳を保存しながら工事を進める必要から、名鉄名古屋本線南区区間の連続立体交差事業については一部区間で大幅な工法変更となるものの、住民への説明を尽くしながら、できる限り早い完工を目指し名鉄とも協議を進めてほしい。」
■ 桜神明社古墳(5世紀末頃)
直径36m、高さ4.5mの円墳で、墳丘裾の西から北にかけて周濠が残っており、比較的保存状態が良好な古墳。5世紀末頃のものと考えられる。墳頂に桜神明社が祀られていることに由来するが別に「ひめ塚」とも呼ばれていた。墳丘上から須恵器が出土している。なお、現在は円墳のように見える桜神明社古墳は、かつては帆立貝式前方後円墳だったとの言い伝えもある。