夕張リゾートの経営破たんで、雇用や地域経済への不安が募る夕張市。シチズン子会社での希望退職に、3月末でマルハニチロ工場の閉鎖も重なり、このまま見過ごすわけにはいきません。熊谷桂子市議の案内で、調査・懇談にとまわりました。
リフトが止まったままのマウントレースイスキー場。先月15日に今期の営業停止が発表され、その9日後に夕張リゾート社が自己破産の申し立てを明らかにしました。写真のように除雪もされていません。伝え聞いた話では、それ以前から従業員への給与支払いが困難だったようとのこと。それでも冬季オープンの準備をし、スキー修学旅行の予約もあったと聞きますが、新型コロナの感染拡大が契機になっているとはいえ急な発表でした。
この施設は2017年、今の道知事である鈴木市長(当時)が中国系企業の「元大夕張リゾート」に約2億円で売却しました。しかし2019年4月、香港の投資会社「グレートトレンド」に約15億円で転売されます。転売禁止が、夕張市と元大との契約に盛り込まれていなかったのです。しかも当時、別の企業が10億円で購入で検討していたともされ、夕張市は7億円以上も安く売却していたことになります。この経過での問題は道議会でも追及していますが、これはこれで引き続き検証が必要です。
ともかく、市民の雇用と地域経済を守る手立てを急がなければなりません。市役所でも雇用維持等を目的とする対策会議を設置し、「マルハニチロには本社訪問もしました。夕張リゾートは弁護士からの回答待ちという状態です」と厚谷司市長。債権者も多いことから、まだ全容を市でも把握できていない状況のようでした。厚谷市長は「市民にも市の方向性をしっかり伝えることに努めます」とも述べられました。
2007年に財政破綻した夕張市。今も財政再生計画中で市民にも重い負担がのしかかり、どの自治地帯よりも人口減少が進みました。小学校・中学校も全市で1校です。鈴木市長の時代にJR夕張支線も廃止されました。他の自治体なら独自におこなえる施策も、まだ現状では国の認可が必要とされるなか、それでも市民や市職員の努力のもと、昨年は拠点複合施設「りすた」も開業するところまでとなってきたのです。そんな夕張市だからこそ、道や国も連携を強める必要があります。
料飲組合の役員でもある「Cafe & Sweets 和 」代表の中本満さんからも、話をうかがいました。スキー場の正面にある喫茶店で、スキー修学旅行に来た生徒が大人になってから再訪したこともあったそうです。店内には夕張支線の思い出もズラリ。炭鉱の閉山、市の財政破綻など多くの苦難を乗り越えてきましたが、中本さんは「この場所は夕張駅もあった観光拠点でもあります。このままでは閉めざるを得ないという店も出てくるのでは」と心配を口にされました。
それでも前を向いてきたのが夕張の歴史。「このままでは町が暗くなる。日が暮れてからお客が来なくても、意地で灯りをつけているよ」と笑う中本さんから、商品券など地域でお金が循環するような国の臨時交付金の話が出されました。グループホームを経営する柳沼英貴さんからはリゾート社をはじめとした雇用状況に心配されつつ、「介護分野は人手不足。雇用の受け皿となれるように、いつでも見学を受け付けています」との取り組みも聞きました。
「若い人が働けるような環境づくりに、僕も力になりたいんです」と、「じじばば食堂」で腕を振るっていたのは橋場英和さん。旭川から引っ越して「ゆうばり屋台村」に出店し、今ははまなす会館内で昼限定の営業をしています。「食事後に手を握って『がんばってね』と言われたり、市民のみなさんに助けてもらった恩を返そうと今までやってきた」と夕張市のあたたかさから話は始まりました。
夕張リゾートで働く知人もいることから、その雇用も心配されている橋場さん。経営よりも投資優先という外資系企業の現実も目の当たりにしているだけに、今後については「どうやって企業を引っ張ってくるかより、地域の力を引き出すような行政を」と望まれています。ネットワークができれば、まだまだ市民の力は発揮されるはずとの橋場さんの話に、私たちも元気をいただきました。しっかり私も役割を果たしたい。
札幌へ急ぎ、北の鉄路存続を求める会の「いちの日」行動に参加。本来の「いちの日」行動は労働争議の交流・連帯の場なのですが今月は中止ということで、この宣伝行動のみ。留萌本線の減便について、小室事務局長と私とで訴えました。高校生が必要としている便を失くすようなことをしてはなりません。
【今日の句】乗り越えた 力と歴史と あたたかさ