地球のなかで、ともに生きる

 一昨日に白老町にて、宇梶静江さんと懇談する機会に恵まれました。紙智子参議院議員・大淵紀夫町議とじっくり、宇梶さんのアイヌとして生きるアイデンティティをうかがいました。柔らかくも重みのある話を、背筋が伸びる思いで聞きました。

 北海道から東京へ、そして80歳を過ぎてから北海道へと戻ってこられた宇梶さん。高齢での引っ越しは大変だったと思いますが、「大地が私たちを解放してくれる」と感じたそうです。東京に住むアイヌの孤独さも、何度となく語られていました。宇梶さん自身、朝日新聞への投稿をきっかけにアイヌであると明らかにし、東京ウタリ会を設立に導きました。

 古布絵作家として有名な宇梶さんですが、恥ずかしながらじっくりと、その絵本を読んだことがありませんでした。そんな私にも宇梶さんは、自分の子どもに接するがごとく絵本を取り出し、手渡してくれました。「セミ神さまのお告げ」を読んでいて、生き生きと描かれる古布絵に引き込まれ、アイヌの文化や世界観を(本当に一端でしょうが)身近に感じることができました。

 宇梶さんは包み隠さず、みずからが受けた差別や、アイヌ同士でも生まれた意見の相違、また知人の日本共産党員についても語ってくださいました。「結婚してお金が入っても、自分の書いた詩が評価されても、自分を出せない悲しさがあった」「カムイノミに来た年寄りが『俺たちはバカにされるような人間ではない』と言っていたのを、ウンウンと聞いていた」。1つ1つの言葉が、本当に重く胸に響きます。

 「これはアイヌでやりたい、ということもあります。シャモ(和人)に話したくないこともあります」との話も聞き、ドキッとしました。しかし、それはシャモへの憎しみや不信などとは違う、アイヌ民族として自立した道をひらこうとのエネルギーの言葉。著書「大地よ!」でも、「アイヌよ、今こそ立ち上がる時だ」と呼びかけています。国会ではアイヌ新法の見直し期間(5年)を迎えていきますが、アイヌ当事者の手によらない改正であってはならないと痛感しました。

 この間のアイヌ同士の新たな出会いにも触れた宇梶さんは「この人に引き継げたと思えることが大事」との話をされ、また背筋が伸びました。どれだけ宇梶さんの思いを、私は引き継げるだろうか。聞いた話を、どれだけ自分のものにできるだろうか。2日が経っても、なんだか自信が湧いてきません。こうしてブログで書きながら、自分のなかでかみ砕いているのが率直なところです。

 昨日は家畜改良センター新冠牧場に眠る御料牧場時代の資料が、しっかり保存・管理され生かされるよう紙議員とも要請し、国立公文書図書館への移管も検討中との話をうかがいました。これはアイヌ民族の強制移住にかかわる文書なのですが、センター職員も初めて存在に気づいたそうです。歴史を明らかにして積み重ね、後世に伝えていく大事さも、宇梶さんと話したからこそ再認識しました。こうして先住権保障の道を、いっしょにきりひらくことにもつながると思えました。

 地球・大地のなかで、ともに生きる。しっかり自分のものにしていきたいです。

 【今日の句】誰だって 自分1人で 生きてない

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畠山和也
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