カジノも含むIR誘致の推進決議が、苫小牧市議会で可決されました。もちろん日本共産党市議団は反対。「道民目線で判断」と言ってきた鈴木知事は、それなら反対多数の道民世論に従って誘致しない決断こそするべきです。北海道にカジノはいらない。
昨年5月21日に大門実紀史参議院議員・党道議団で、苫小牧へ調査に行きました(詳しくはこちら)。市からの資料を見ると、想定訪問者は約600万~1100万人/年とされ、うち札幌を含む圏内から約300万人(延べ数)、道内から約246万人(同)、国内から約577万人(同)、海外から約500万人(同)と事業者からの提案にあります。道内・国内が圧倒的なのです。
大雑把に計算すると平日は約1~2万人/日が、休日は2~3万人が来場することになります。それだけの来場が年間365日もあるとは思えませんが、それだけ来るのならギャンブル依存症が増える割合だって上がるはずです。マネーロンダリングや治安の問題で年中、目を光らせる地域となるのではないか。
この時に候補予定地にも行きましたが、市街地から離れた静かな森のなかで、ここに建設するとなればインフラ整備・維持費も多額になるようなところ。苫小牧市は仮の試算として、水道で24億円・下水道で54億円の整備費がかかると明らかにしています。道路整備費も、市が負担するのかIR事業者が負担するのかは今後の交渉としています。市民負担として押しつけられる可能性もあります。
そもそもIRはカジノ抜きにありえない。マリーナベイ・サンズ(シンガポール)やソレアリゾート(マニラ)の収益を見ると、総売り上げのうちカジノゲーミングが占める割合はマリーナベイで80%、ソレアリゾートで91%にもなります。日本政府などが言う「健全なカジノ」を実施すれば、このような売り上げだって出てこないでしょう。そもそもカジノは賭博なんですから。
ギャンブル依存症で苦しんだ家族の経験を聞いたことがあります。本人は自覚がなく借金も膨らみ、あらゆる(時には犯罪も含む)手段で金策に走り、その返済も含めて家族の人生を狂わせるのがギャンブル依存症。人の不幸が必ず生まれることを、どうして経済の成長戦略などと呼ぶことができるのでしょう。これが北海道観光に寄与するとなれば、食や自然などを中心とした北海道の良さも失われていくのではないのか。
今朝も苫小牧では市民のみなさんが、市役所前で反対や抗議の宣伝行動をしていました。同じ気持ちで札幌駅周辺で、私もマイクを握り朝の宣伝。ターゲットは海外の観光客でなく、日本国民・北海道民の財布。カジノ事業者の多くは米国資本。そもそもカジノの犠牲に国籍は関係ありませんが、こうやって国民の財産が奪われてもしまうのです。
カジノ実施法に書き込めず、政令・省令・規則にゆだねた項目が343もあります。政府や業者の思惑で、事業内容や運営方法などを変えられるということ。こうやって見れば、とにかく「カジノありき」ですべてが決められていったわけです。これでカジノを実施するなんて、何重にも許されない。
苫小牧だけでなく、反対の声を上げるべき舞台は全道です。特に道都・札幌市の役割は大きい。私も道内をかけまわり、カジノ反対の世論を大きく広げていきます。
今日は札幌市中央区をまわると、党員のTさんがおにぎりを差し入れてくれました。入党のお誘いをした方からも「Tさんと接するなかで、少し考えも変わってきた」との一言が。いつも感じるのは、党員・地方議員のみなさんが積み上げている信頼の確かさです。「たぶん大丈夫だと思うよ」と、入党も前向きに検討してくださることとなりました。
あたたかい日本をつくるには、あたたかい地域づくりから。その輪を広げるには、あちらこちらに日本共産党員がいることがカギだと思います。カジノのように誰かを苦しめることを当然とする政治とは、まったく反対の道を進もうとこれからも呼びかけていきたい。
【今日の句】苦しみを 増やして何が 成長か