今日はデスクワーク。昨日、江差町・小野寺町議から聞いた檜山沖の大規模洋上風力発電の計画にかかわって調べたことを、メモ的にまとめておきます。
洋上風力発電を進めるために、さまざまな法改正を政府は進めてきました。港湾法(2016年)、漁業法(2018年)、また一般海域の占用期間を最長30年間まで延長できる再エネ海域利用法が2018年に成立しています。この法律にもとづき国が区域指定をおこない、入札にて選定された事業者が再エネ発電事業を実施することになります。
その一定の準備段階に進んでいるとして、今年7月に示された地域のうち北海道では檜山沖と、岩宇及び南後志地区沖とが発表されています。南後志には寿都町が含まれて、片岡町長が文献調査に応じる理由に「国を揺さぶる」と発言していたことは、これらが背景にあるものとも思われます。
檜山沖の建設計画主体は電源開発で、せたな町から上ノ国町までの海岸線に70基以上の風車設置を検討しています。関係5町や漁協・漁業者との話し合いがもたれていますが、再エネ海域利用法のもとで選定されれば最長30年間、海域を占用できます。30年あれば事業として見込めますし、そのために法制定をしたのでした。
ただ、檜山沖は海岸から2km先でも水深が40mほどになり、沖へ行くほど土台の設置工事は難しく、費用もかかります。それもあってか、最大で直径220mもの大型風車なのにわずか海岸から500m~1kmしか離れてない場所への設置が検討されています。石狩湾の計画でさえ数km離すとしているのにです。
騒音や低周波、景観などの問題もあるし、漁場が荒れることにならないかとの課題があります。法律では「利害関係者」との話し合いを規定していますが、一般の住民も含めて、合意なく進めることには懸念があります。これらの実態の一端を、小野寺町議から聞いたということです。
一方で、主力のイカをはじめ不漁が続く漁業者にとっては、補償のような形で経営を支えてほしいとの思いもあるでしょう。漁業法改正で漁業権が企業へ開放されたことで、洋上風力発電と養殖事業をセットで進めていけるとの売り込みもネット上では見られました。そもそもは魚価下落や水産資源減少に応じた補償などを、国として拡充していく必要があると思います。
電力大消費地へ送るために、自然の恩恵を受けてゆったりと暮らしている地域に大型発電機が設置される矛盾にも、真剣に向き合う必要を感じます。エネルギーの地産地消なら大型化・多数化する必要はないわけで、都市部や産業部門への電力供給をどうするかは、社会の省エネ化も含めて設計し直すことも求められているのではないのか。
そして、寿都町や神恵内村での文献調査。寿都町の片岡町長は、風力発電推進市町村全国協議会の会長でもあります。片岡町長は、文献調査の交付金を使って、洋上風力発電の誘致に向けた風況調査の費用にあてるのも1つだとインタビューで答えています。文献調査の応募と洋上風力発電の指定がセットで進んでいることに、国の動きも含めて注視する必要があると感じています。
片岡町長は国のエネルギーについて勉強するなかで「核のゴミ」処分場についての必要性を感じてきたと言いますが、「トイレなきマンション」と言われ続けた原発からの高レベル放射廃棄物について、片岡町長が知らなかったはずはないでしょう。片岡町長や神恵内村の髙橋村長の責任は問われるべきですが、国が交付金を使って、地方に手を上げさせる誘導をしてきた結果ではないのか。しっかり問うていきたい。
【今日の句】開拓の 意味を悩んで 日が暮れる