聴覚障害者が札幌市でのワクチン接種予約ができず困っている問題で、札幌聴覚者協会(札聴協)で実態や要望を聞きました。知的や精神、視覚などの障害を持っている方に対してもそうですが、情報を正確に伝えながら意思疎通できる社会なのかが、コロナ禍で問われてきています。
「障がい者コミュニケーション条例」や「手話言語条例」を持つ札幌市ですが、ワクチン接種券には電話かインターネットによる受付しか示されていません。各区役所には、ろうあ相談員が1人ずつ配置されてFAXによる相談は受け付けていますが、接種の予約はできません。札聴協としては5月に「予約のFAXでの受付」「集団接種会場での手話通訳者や要約筆記者、遠隔手話通訳の配慮」などを、市に要請しています。
「接種のための書類にはルビが振られていないし、専門用語がわからない場合の相談体制も必要です」と、渋谷悌子・同協会コミュニケーション支援課課長さん。協会への相談も担ってきただけに、次々と語られる困っている事例を重く受け止めました。1日かかっても予約が取れなかったというろうあ夫婦が、帰り際に「仲間は大丈夫なのかな」と、自分たちよりろうあの仲間を心配していたとエピソードも紹介され、「障害を持ちながら生きてきたことの重みが伝わりました」との話も心に残りました。
そもそも手話通訳者の身分保障が低く、養成が遅れている実態を指摘されたのは渋谷雄幸理事長さん。ボランティア登録の方はワクチン接種の対象ではありませんし、業務中の感染も労災とはなりません。国からも保険加入を推奨されていますが、実際の掛け金と支払い金額を見ると十分でもない現状も。「このままでは意思疎通を支援する事業が成り立たなくなる。国がもっと社会保障の分野を大事にしてほしい」と訴えられました。手話通訳者を正職員として雇用している自治体もあるといいます。
手話は言語です。住民の意思の伝達・表明や、行政との意思疎通は民主主義の土台のはず。自治体まかせにせず国としても責任を果たす必要があるし、何より手話通訳者の育成を急がなければなりません。いろんな宿題をいただきました。
午後から、道内唯一の女性首長である佐藤ひさ子留寿都村長への表敬訪問。今年4月の村長選挙で初当選されたのですが、議員有志として擁立にかかわり実質的に支援もした党の坂庭進村議を前に「共産党さんから応援を受けるなんて驚きだし、うれしく思いました」と佐藤村長さん。選挙戦を通じて「女性だからダメ」などと言われることもなかったと言います。
観光と農林漁業が基幹産業の留寿都村。5月の大型連休前に開園した地元の遊園地は、緊急事態宣言が出されたことで早くも休園。今日もジェットコースターや観覧車は止まったままでした。「そこで働く方はもちろん、関連する飲食店や宿泊業なども苦しい状況です」と語った佐藤村長さんは、「困っている人を見過ごさない村政」をめざしたいと話されました。昨日、ある女性とお会いしたときに「本当に困っている人は、声になんて出せないの」と言われたのだそうです。安心してくらせる地域づくりへ、私も力をあわせますと応じました。
明日は黒松内町から始まり、後志管内を宣伝や「集い」などでまわります。
【今日の句】開催の 声しか聞かない あの総理