ヨーロッパ諸国のエネルギー政策

 4月15日、ドイツは全ての原発を停止した。2011年3月の福島第一原発事故を受けて、当時のメルケル政権は、その時点で稼働していた17基の原発のうち、古い原発7基と事故停止中の1基を稼働停止にし、残り9基も2022年末までに段階的に廃炉にする方針を決めた。 今のショルツ政権には、原発廃止をうたってきた緑の党が政権に参加している。そのこともあって、既定の原発停止を継承したが、ウクライナ戦争によって実施時期が昨年末から今まで延期されていたのである。 電源構成を見ると、2011年には18%だった原子力は、昨年は6%にまで落ちていた。一方、再生可能は20%から44%に増えたのである。しかし、再生可能エネルギーだけで必要な電力を確保できるか否か不明である。そして、不足分を石炭火力で補うようだと、本末転倒になってしまう。 安定供給への不安や電気代高騰への心配もあり、世論調査では国民の過半数が原発の停止には反対である。ドイツ政府としては、必要な場合には近隣諸国から電力が輸入できるという安心感もある。それはヨーロッパでは国境を越えて送電網が張り巡らされているからである。 しかし、たとえばフランスやウクライナから輸入するとなると、それは原発によって生み出された電力であり、結局は原発依存のままだということになる。 ドイツ政府は、LNG の貯蔵を増やしているが、今年の冬に寒波が到来すれ続きをみる

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