混迷するベネズエラ:その基礎的情報

 マドゥーロ大統領側とグアイド暫定大統領側との対立が続いている。前者をロシア、後者をアメリカが支持している。今後の見通しを立てるためにも、基礎的な情報を確認しておこう。 まず、ベネズエラの石油の埋蔵量は世界一である。しかし、昨年のインフレ率が約170万%というハイパーインフレを見ても、経済が完全に崩壊していることが分かる。IMFによれば、今年のインフレ率は1000万%に達すると予想されている。 このような状況に絶望して、多くの国民が国外に逃亡している。その数は、2015年以降、人口の1割に当たる約300万人にのぼり、2019年末には530万人に達するとみられている。 第二次大戦後、豊富な石油収入のおかげでベネズエラは繁栄したが、貧富の格差は拡大し、政治の腐敗も進んだ。そのため、1992年に軍人のチャベスがクーデターを起こすが、失敗に終わった。 チャベスは、反米・社会主義の旗を掲げて1999年には政権の座に就くが、経済は低迷し、格差は拡大し、治安は悪化した。チャベスは2013年に死去するが、その後を継いだのが副大統領マドゥーロである。しかし、2014年以降、原油価格の下落によって、外貨が不足し、物価上昇、物不足となり、経済は破綻状態に陥った。 2016年には国会選挙が行われ、野党の右派連合が勝利し、過半数の議席を獲得した。野党が反対する中で、マドゥーロ大統領は、2018年5月に大統領選挙を行い、再選されたが、不続きをみる

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