厚労大臣として2009年の新型インフルエンザにどう対応したか(1)

 第一報は2009年4月、WH0(世界保健機構)からもたらされた。「メキシコや米国で、ヒト‐ヒト間の豚インフルエンザウイルス(H1N1亜型)による呼吸器疾患が発生している」という。 当時、東南アジアを中心に鳥インフルエンザ(H5N1亜型)が流行しており、このウイルスが鳥から人に感染する事例が数多く報告されていた。この鳥インフルエンザのウイルスが突然変異し、人から人へと感染する新型インフルエンザが発生して世界的大流行(パンデミック)となる可能性がかねてより示唆されていた。そのため、厚労省では、鳥インフルエンザ対策を国家の危機管理に関わる重要な課題と位置付け、流行に備えた準備を早急に進めていた最中の報告だった。「鳥ではなく豚?」 予想もしていなかった事態に、省内ではあらゆる情報が飛び交った。今では季節性インフルエンザと同じく「弱毒性」であり、死亡率も0・045%程度とされている新型インフルエンザだが、当初はメキシコを中心に非常に高い死亡率を記録していることが報じられていたことも危機感を煽った。   情報が少なく、新型インフルエンザの実態がいっこうにつかめないままに、私は迅速な対応を迫られた。私は、河村建夫官房長官(当時)に、「対策本部を立ち上げる必要が出てくるかも知れません」と伝え、まずは「官邸連絡室」を設置し、最悪の事態に備えた準備を急がせた。 同年4月27日、WHOの緊急委員会は世界的流行の警戒続きをみる

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