5日、ロシアを訪問した習近平国家主席は、プーチン大統領との間で首脳会談を行った。中露の親密な関係をアピールし、トランプ政権を牽制した。米ソ冷戦時代への回帰のような感じがするが、北京とモスクワも必ずしも一枚岩ではない。 1月末に、アメリカのポンペオ国務長官は、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄通告を発表した。ロシアが条約違反を繰り返しているというのが破棄の理由である。 この通告を受けて、プーチン大統領は、ロシアも同条約の義務履行を停止すると言明した。このままだと、同条約は6ヶ月後に失効する。 1987年12月に締結されたINF条約は、欧州に緊張緩和をもたらし、東西冷戦終結にもつながったが、これでまた米露の軍拡競争が始まりそうである。 アメリカは世界一の軍事大国であり、核戦力についても他国の追随を許さない。それに対抗して、プーチン大統領は、強いロシアの復活を目指し、軍事力を強化するとともに、2014年4月にはウクライナ領のクリミアを力で併合した。また、アメリカが北朝鮮や中国、つまりアジアに関心を集中しているすきに、中東やヨーロッパでもそのプレゼンスを高めていった。 そのような努力の一環が、アメリカの主張によれば、INF条約を無視して、新型INF 「9M729(SSC8)」の開発や配備を進めてきたことである。INFとは、通常弾頭や核弾頭を搭載する地上発射型ミサイルで、射程は500~5500㎞であるが、ロシアは、SSC8の射程は480㎞と主張し、疑惑を否定している。そ続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』