1年経っても変わらない日韓関係

 文在寅大統領の支持率は37.4%と、就任以来の最低となった。その支持率回復への思いもあるのか、日本へのアプローチを始めている。在日韓国大使に知日派の姜昌一(カン・チャンイル)・韓日議員連盟名誉会長を任命したこともそうだ。政権に就いたばかりの菅首相に、朴智元(パク・チウォン)国家情報院院長らが次々と面会している。 しかしながら、日韓関係は1年前と変わらないままであり、文在寅政権は徴用工問題で何らの具体策も提示していない。 昨年11月23日にはGSOMIAが失効させる予定だったが、それを延期している。日韓関係は最悪とも言える状況に陥っており、両国の経済にもマイナスの影響を及ぼしている。新型コロナウイルスの感染拡大前から、観光地では韓国人客が激減し、観光関連産業は大打撃を被っている。事情は韓国でも同様である。 現在の日韓対立の直接的な原因は徴用工問題である。 戦後賠償については、1965年6月には、日韓基本条約が結ばれ、両国間で請求権の完全かつ最終的な解決が図られた。日本側は、経済協力金として、無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドル以上を供与・融資を行い、韓国側は対日請求権を放棄した。 日本政府は、無償の3億ドルは、徴用工などの個人からの請求への支払いに使うべきだと主張した。韓国政府は、ごく一部はそれを実行したものの、3億ドルの95%は経済発展に使われたのである。それは、貧しい韓国が経済的に「離陸」することを優先したからである。 1965年の基本条約によって、損害を被った個人の請求権が消滅するものではなく、それは参議院予算委員会における外務省局長答弁でも「存続きをみる

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