日本人を苛立たせるIOC語録 

 東京五輪、7月23日の開会式まで、もう50日を切っている。まさに時間との勝負である。 政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は、6月2日の衆院厚生労働委員会で東京五輪・開催について、「いまの状況でやるというのは普通はない」と述べた。開催を強行して、感染爆発などの事態が生じたときの責任逃れのための発言と、とれないこともない。しかし、政府は尾身チームの提言に基づいてコロナ対策を講じており、この元医系技官の責任は重い。 そのような中で、国民の過半数が中止や延期を求めており、開催を既定路線とするIOC、東京都、組織委員会、日本政府との見解の溝が深まっている。しかも、その国民世論を逆なでするようなIOC側からの発言が相次いでいる。 5月19日、バッハIOC会長は、「日本人の粘り強い精神力、逆境に耐え抜く能力」があるから五輪開催は可能だと述べている。精神論で可能だというのなら、大和魂で太平洋戦争に勝てると喧伝した大日本帝国陸海軍の主張と変わらない。 21日は、東京五輪担当のIOC副会長、コーツ調整委員長は、「緊急事態宣言下でも五輪を開催するのか」と記者に問われ、「答えは絶対にイエスだ」と答えた。 また、翌22日には、バッハIOC会長が、五輪開催で「犠牲を払わねばならない」と発言し、物議を醸している。皆が努力して安心安全な開催をしたいと言いたかったようだし、「日本国民ではなく、オリンピック関係者やオリンピック自体に向けたものだ」と後で釈明したが、これまた火続きをみる

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