暗礁に乗り上げた北方領土・平和条約交渉

 9月5日に、ウラジオストクで日露首脳会談が行われたが、北方領土・平和条約問題には何の進展もなかった。 北方領土の色丹島に、ロシア企業が大規模水産施設を稼働させ、ウラジオストク滞在中のプーチン大統領がビデオ中継で祝福している。安倍首相との首脳会談直前に、このようなことを敢行することは、歯舞、色丹の二島すら返還する意図がないことを示すためである。 また、6月22日には、プーチン大統領は「島を引き渡す計画はない」と述べているし、メドベージェフ露首相は8月に択捉島を訪問している。また、北方領土における軍事力を強化している。 安倍政権下で、「四島一括返還、その後に平和条約」という日本のこれまでの主張が反古にされたが、それでも構わないということを、安倍首相は内外に説明することができるのであろうか。 タテマエ上は、「まず平和条約締結、そして二島返還、その後に四島を取り戻す」ということであろうが、平和条約を締結することがそんなにも重要なのであろうか。1956年の日ソ共同宣言以降は、平和条約が存在しているのと同じ状況にあり、日露両国民とも何の不便もない。形式的には、平和条約締結が「戦後外交の総決算」となる続きをみる

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