こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日11月1日の調整会議にて、懸案の五輪マラソン・競歩が札幌開催となることが正式に決定されました…。
マラソン札幌開催「合意なき決定」の内幕 森会長に迫った小池知事
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/191101/tko1911010016-n1.html本件についてはIOCに全面的な責任があり、交渉に臨んだ小池知事だけを責める気はありません。
ただ、結果には多くの都民同様、私も残念という他ありません。
決定直後の生配信にて、今回の結果について私なりの見解を述べましたが、
勝ち目が少なかったとはいえ、もし仮に小池知事の支持率が現在20%~30%程度であれば、文字通り小池知事は政治生命をかけて闘ったのではないかと思います。
突然の発表直後から風向きは変わり、いま明らかに都民の多数派はIOCの横暴に怒りを覚え、東京開催のために抵抗する小池知事の姿勢を支持しています。
ここであらゆる手段を用いて毅然と闘い、そして東京開催を勝ち取るようなことになれば、小池知事は稀代の政治家です。
二期目の都知事が安泰なことはもちろん、衆院に返り咲いて総理大臣まで可能性があったと思います。なにせ、「あのIOCに外交で勝った」政治家になるわけですから。
しかしながら、現在の小池知事の支持率は40%~50%と中位安定状態。上記はハイリスクハイリターンで勝ち目の薄いシナリオですから、博打を打つよりも無難な妥協を選んだということでしょう。
マラソン・競歩の札幌開催は、IOCに言わせれば「小池問題」だった。何でも政治目的のパフォーマンスに変えてしまうのに辟易したIOCは、彼女を蚊帳の外に置いた。そして、都の経費負担なし、五輪後のセレブレーションマラソンなどの餌で黙らせた。赤子の手をひねるようなもので、IOCの政治的完勝だ。
— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) November 1, 2019
そこまで見越していたからはわかりませんが、いずれにせよ開催都市首長の動きを封殺したIOCサイドの「政治的完勝」であることは間違いありません。
悔しいことですが。
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それにしても、表向きのバーターとしてIOCから東京都がもらったものが「セレブレーションマラソン」というのが、現時点ではどうにも解せません。
「五輪後に東京でマラソン大会」IOCが提案 小池知事
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191101/k10012160301000.htmlネットニュースでも取り上げられましたけど、私は難しいと思います。
大都市を麻痺させて実施する大規模マラソン大会というのは、交通規制やテロ・緊急医療対策など、莫大なコストと調整を必要とします。
今でこそ当たり前の顔をして毎年実施されている東京マラソンですが、「東京でマラソンなんて不可能だ!」という声が圧倒的多数を占める中、石原都知事(当時)が執念とも言える政治力を発揮して実施にこぎつけたと言われています。
それでも未だに、あんな迷惑なイベントはやめろという声が少なからず聞かれます。
世界から一流のアスリートが集まる五輪だからこそ納得できても、どんな選手が集まるかわからない・おそらく本気で記録や結果のために走らない「セレブレーションマラソン」で、それだけのコストとリスクに見合うのでしょうか?
そもそもこのセレブレーションマラソンも、IOCの誠意だと言うなら費用面も負担するべきだと思うのですが、そのあたりは何も決まっていないのでしょう…(市民ランナーが参加できるのかも謎)。
この生煮えの提案を嬉々として受け入れた小池知事は、東京マラソンを作り上げた石原元都知事に対する対抗意識でもあったのかなと感じるところです。
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言いたいことは山ほどありますが、ネガティブなことをいつまでも言っていても仕方ないので、これで最後にします。
ここからは札幌での成功に力を尽くすとともに、理不尽なIOCの決定で国民・都民に新たな負担が生じる事態を最小限に留めなければいけません。
「東京都には負担をかけない」と明言しているIOCですが、その請求書が五輪組織委員会やJOCに回ってくれば、結局はその出処は(都民も含む)国民の税金です。
闘いと交渉は第二ステージ。
協力することも大切ですが、IOCの責任をしっかりと国際社会に訴え、費用面は担保してもらうよう、私も国政の立場から力を尽くしてまいります。