「民主主義のバグ」「投票システムの欠陥」を徹底的に突くN国戦略。解決策はネット・電子投票か

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

緊急事態宣言下ではありますが、本日も全国各地で各級選挙の投開票が行われました。投票所・開票所クラスタが発生していないことを祈るばかりです…。

もっとも注目度の高い選挙としては、国政選挙(衆議院補選)である「静岡4区補選」だと思いますが、従前の予想通りの低投票率で自民党候補が手堅く当選ということになりました。

そしてもうひとつ注目されていたのは、「田中けん」という完全な同姓同名候補が立候補していたことです。

これは偶然の一致ではなく、NHKから国民を守る党の党首・立花孝志氏が「社会実験」として狙って行ったを公言しています。

N国党の退潮傾向もあって大勢に影響はありませんでしたが、これはけっこう怖いことだと思います。

実際に選挙戦では、野党統一候補の田中けんさんは「投票用紙には年齢まで書いて下さい!」というアピールをせざるを得なくなり、余計なコストがかかりました。

そんな懸命のアピールにもかかわらず、投票所によっては2%近く「名前だけが書いてあってどちらのものが判別不可能」という票が発生しています。

こうした記載だけで判断できない票は「じゃあ二人で半分ずつね」ということにはならず、本来の得票率(きちんと判別できて得票している票数の比率)に応じた割合で、双方に割り振られます。ざっくりいうと、

田中A:9,000票
田中B:1,000票

だったら、9:1の割合で田中判別不能票が割り振られるわけですね。上記の場合、「田中」とだけ書かれた票が10票なら、田中Aへ9票、田中Bに1票です。これを「按分」といいます。

なので、投票所によっては2%もの同姓同名票があったとはいえ、さしたる大きな影響はなかったわけですが、これがもっと党勢が大きい政党の候補だったら…?

勝敗を決する要因になるかもしれませんし、N国のような政党でも全国各地に同姓同名候補の乱立作戦を取った場合、そこそこに票を上積みして「政党要件獲得の2%得票」へ近づいていくかもしれません。

これは「投票システムの欠陥・バグ」を突いた、ある意味では鋭い行為です。

日本では「記名式投票(自書式投票)」が国政選挙で採用されており、地方選挙も多くがこの形式です


地方選挙に限っては「選択式(記号式、候補者の名前が書いてある用紙に◯をつける)」の採用も可能で、わずかに存在する。

そうなると、同姓同名候補が出た場合の混乱は避けることができません。

そこでしつこく押していきますが、この解決策としてこそネット投票、あるいは電子投票(投票所で機械を使って投票)があります。

ネット投票や電子投票は選択式・記号式が前提とされていますので、按分票のようなものが発生することはありません。

まあ名前が紛らわしいので間違って投票してしまうということまでは回避できませんが、それこそ所属政党名や年齢まで大きく表記できますので、ミスを減らすことができるでしょう。

選択式・記号式の欠点とされている「最初に表記される人が有利」問題も、ランダム表示にすることで解決できます。

これまでもたびたび取り上げてきた通り、ネット投票には課題が残っておりますが、一方で在外投票において導入されるなど徐々に環境は整いつつあります。

あとは政治判断で、思い切った決断をしなければ膠着状態が継続するばかりです。

もう一方の電子投票については、すでに法的には認められているものの、以前に大きなトラブル(可児市における「可児ショック)があった点や維持コストが高いことから、現在はすべての地方自治体が電子投票システムから撤退しています。

こちらもモバイル端末などの機材が進化し、低コストの運用が可能になっておりますので、改めて政府としても導入促進・支援策を検討するべきではないでしょうか。

電子投票の導入拡大は、情報技術を使った投票への心理的ハードルを下げ、ネット投票実現の呼び水となる可能性が高く、またネット投票導入後も併用が可能です(投票所はなくならないので)。

いずれにしても、この新型感染症が様々な社会変革を促す中で、「選挙」という極めて古い世界においても変化を避けることは不可避です。

全国で低投票率が相次いだ事態を重く受け止め、改めて国会でもネット投票・電子投票の促進を強く提言していきたいと思います。

それでは、また明日。

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