こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
緊急事態宣言に伴い、酒を提供している飲食店に「金融機関からも働きかけをさせる」という衝撃的な発表を政府・西村大臣が行いました。
要は飲食店・事業者と取引がある(融資を行っている)金融機関から「圧力」をかけろということに他ならず、営業権を侵害するとんでもない要請です。
これには与野党問わず多くの政治家・有識者から一斉に猛批判の声が上がりました。私としても到底、看過できるものではありません。
金融機関が本当に飲食店に何らかの「働きかけ」をすれば、独禁法が禁ずる「優先的地位の濫用」にあたる恐れがあります。特措法もこうした自体を想定しているものとはまったく考えられません。
要請を破りたくて破っている飲食店は少数派で、多くのお店は協力金の少なさや遅れから止むに止まれずお酒を提供しているはずです。
そうした現場の苦労を理解しようともせず(敢えて無視して?)、このように政府には直接責任が及ばない遠回しの「圧力」によって私権制限を行うやり方はまったく了承できません。
なお昼過ぎに金融庁に確認したところ、具体的な指示は何も降りていないとのことでした。
上記ニュースによれば省庁同士の連携もロクに取れていなかった模様で、これらも含めて政府方針にはもう呆れてものが言えないというのが率直な思いです。
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猛批判を受けて、この「金融機関からの働きかけ」は一夜にして撤回されることになりました。
この撤回は良かったと思います。しかしながら、同時に出された酒類販売事業者に対する飲食店との取引停止要請についてはまだ維持されているようです。
金融機関を使わないとしても、これも政府以外の民間事業者から圧力をかけようとする同根のものです。
これらの対応から、1つはっきりしたことがあります。
それは政府は十分な経済対策や補償で「理解と納得」を得て緊急事態を乗り越えるのではなく、責任逃れをしながら・しかし強権的に「同調圧力」で事業者や国民を追い込み、その犠牲の元で緊急事態をやり過ごそうとしているという事実です。
これまでの緊急事態宣言も、大小様々な問題がありました。しかし、今回ばかりは発令までの経緯・内容ともに最低だと感じています。
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補償なき要請に頼るのではなく、国民や事業者が納得感を持って感染症対策に協力してくれる体制づくりや法整備を進めるのが国会の役割のはずでした。
ワクチン普及を目前に控えて、結局政治は最後の最後までこんな体たらくなのかと唇を噛み、負担をかけている皆様に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
与野党にいる心ある議員と連携しながら、なんとか経済対策などで事態を好転させる方向性を模索してまいりたいと存じます。
それでは、また明日。