平成29年の人口動態統計では、脳血管疾患で11万人弱の方が亡くなられており、これは全死亡者の8.2%を占める割合となっています。
死因としては、がん(悪性新生物)、心疾患に次ぐ第三位となっています。
脳卒中は死亡につながる病気というだけでなく、要介護状態になるリスクが極めて高い疾患でもあります。
65歳以上高齢者の介護が必要になった主な原因疾患としても上位にあり、特に男性の場合は、およそ23%の方が脳卒中を原因に要介護状態となっており、原因疾患としては脳卒中が一位です。
日本の脳卒中の患者数はアメリカの2倍と言われており、先進国の中でも脳卒中の患者数の多い状況にあります。
高齢化の進展から、さらに脳卒中患者数の増加や医療費の増大が予測されています。
こういった状況を踏まえ、昨年12月に脳卒中・循環器病対策基本法対策基本法が制定されました。
脳卒中を防ぐためのポイントはやはり予防と教育にあります。
生活習慣の改善により、脳卒中は防げる病気です。
食生活の見直しや運動習慣、禁煙など、基礎的な生活習慣を改善する取り組みが求められます。
慣れ親しんだ食生活を変えることに抵抗があることはもちろん理解できます。
ただ、健康寿命を延ばしていくために、食生活の改善は避けて通ることはできません。
発症前から塩分摂取量などに注意し、漬物の量を減らす、食卓に塩や醤油を置かないなど、身近なところからできる取り組みを地域ぐるみで推進していくことが求められます。
また、発症後のリハビリテーションと再発予防の取り組みも重要です。
再発リスクが高く、再発・再入院を避けるための多職種でのサポートが必要になります。
退院後、リハビリを行う場として介護保険でのデイサービスや通所リハビリテーションを利用することも多いのですが、その中で、脳卒中特化型のリハビリテーションデイサービスなども増えています。
脳卒中でリハビリを受ける方の中には年齢的に若い方も多く、介護保険のデイサービスでは80代・90代など高齢の方がほとんどのため、雰囲気に馴染めない方も少なくありません。
ただ、世代の近い人がある場であれば、ともに励ましあうことや、職場復帰などの目標を共有しあうこともできるでしょう。
再発や重症化のリスクは高いものの、リハビリテーションによる改善の可能性が高いこともまた事実です。
リハビリテーションの効果などの結果をもとに、専門性の高い事業所の取り組みを評価し、
地域連携の中で早期リハビリテーションから維持期リハビリテーションにつなげていく取り組みが広がっていくことが望まれます。