都市農業振興基本法と固定資産税政策との不整合

今日まで市街化区域内の農地は「宅地化すべきもの」として位置づけられ、固定資産税においては、宅地並評価・宅地並課税を基本としてきた。

そのため、小規模住宅用地の課税標準が6分の1に軽減されるのに対し、市街化区域農地の固定資産税の軽減は3分の1と割高に設定。市街化区域内における農地の転用を促進してきた。その結果、農地が廃止され固定資産税の安いアパート経営等別事業に使われることが増え、市内においても都市農業は衰退の一途をたどってきた。

一方、農水省は、食や安全意識の高まり、東日本大震災を契機とした防災意識の向上、都市環境の改善や緑の安らぎ・景観形成に果たす役割などを理由として、平成27年4月、「都市農業振興基本法」を制定。都市農業政策は大きな転機を迎えた。

その後相次いで「都市農業振興計画」「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」などを成立。まちのなかにうるおいやゆとりのある景観をつくりだす「景観創出機能」、農業体験などによる交流が生まれる「交流創出機能」、農地や農産物を利用した教育や食育の場を提供する「食育・教育機能」、新鮮な地域産の農産物を都市住民に供給する「地産地消機能」、まちの気温を下げて涼しい空気をつくりだす「環境保全機能」、防災用地の提供・災害時に食糧や水を提供・豪雨時の洪水を緩和する「防災機能」などを期待した。

また、基本計画において、市街化区域内農地(生産緑地を除く)の保有に係る税負担の在り方について対策を講ずるとも明記。しかし、固定資産税の軽減については、法は全く手付数の状態。「都市農業振興基本法」は都市農業を促進し、一方、固定資産税は農地転用を進めるといった法と税制の不整合な状態が続いている。

名古屋市議団は、これら法律と税制の不整合を問題視。「市街化区域農地に対する固定資産税の負担軽減に関する意見書(案)」を取りまとめた。11月議会では各党の理解を得た上で、議員提出議案として地方自治法に基づく意見書として国に提出する考え。
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横井利明
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