史実に忠実な復元を行うことと障害者差別とは別次元の問題
史実に忠実な復元を行うことと障害者差別とは別次元の問題
・河村市長が作りたいというのはエレベーターも電気もない時代に作ったものを再構築するって話なんですよ。その時になぜバリアフリーの話がでるのかなっていうのは荒唐無稽で。どこまでずうずうしいのかっていう話で。我慢せえよって話なんですよ。お前が我慢せえよ。エレベーターを付けるなら再構築する意味がない。
・エレベーターは誰がメンテナンスするの。どの税金でメンテナンスするの。その税金はもったいないと思うけどね。毎月毎月メンテナンスしないといけない。本当の木造を作って。
名古屋市が主催する「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」での市民のご意見だが、正直、聞いていて残念だった。何が残念なのかといえば、障害者への差別といわれかねない意見が展開されていたにもかかわらず、河村市長も市職員の皆さんも何ら対応をしなかったこと。そもそも史実に忠実な復元を行うことと、障害者差別とは別次元の問題。それを混同して障害者差別を市が主催する討論会で展開されていたとすれば大問題だ。
もちろん、私は史実に忠実な復元であるべきと考えている。いや、むしろ、市が提案する復元天守閣の構造があまりにも史実とかけ離れていることに驚いているくらいだ。障害者批判を展開する市民の方が鉄骨でくみ上げられる木造天守に何ら反論せず、エレベーターのことばかり非難するのが不思議で仕方がない。
■ 木造天守の復元 基礎構造の検討例(名古屋市作成) (←click)
※ 基礎構造は鉄骨の柱またはRC柱ばかりでがっかり
私は市民の皆様や海外からおこしになった皆様が、ストレスなく史実に忠実な天守閣を見学できるような配慮をできる限りすべきと考えている。あえてできる限りと申し上げたのは、現在の技術の中で仮にできることとできないことがあれば、基本的な考え方として「完全なバリアフリー」を目標としてまずはできるところまで取り組み、将来的な課題として市民全体が共有し、取り組み中で解決していくしかないと考えている。
今日の討論会は「仮想敵に対する憎悪のうねりを生み出すことで自身の力を最大限に増幅」といった最近の名古屋市の政治手法が生んだ悲劇といっても過言ではなく、後味の悪い討論会になってしまった。こういった悲劇を繰り返さないためにも、しっかりとした対応をしていきたい。まずは6月7日に自民党市議団議員総会を開催し、団員の考え方を確認したいと考えている。