名古屋市のコンビニ交付未対応問題

コンビニエンスストア等における証明書等の自動交付が可能な「コンビニ交付」は、マイナンバーカードを利用して市区町村が発行する証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書、戸籍証明書、各種税証明書等)が全国のコンビニエンスストア等の端末(マルチコピー機)から取得できるサービス。午前6時30分から午後11時まで毎日、利用できるほか、土日・休日等も交付を受けることが可能だ。

また、「コンビニ交付」に係るコンビニへの手数料が117円であることから、多くの自治体では、区役所・市役所窓口よりコンビニ交付の手数料を半額から3分の2程度に軽減している。市民にとってはサービス向上とともに負担も少なくなっている。

令和5年3月15日現在、政令指定都市では名古屋市以外の都市はすべて住民票のコンビニ交付が可能となっている。また、全国1,741市町村のうち、1,104市町村で「コンビニ交付」を導入している。

さて、名古屋市が「コンビニ交付」を実施しないことに対して、市民からの苦情は決して少なくない。令和4年度に至っては、9,000件をこえる苦情・要望等を受けているのが実情だ。

■ コンビニ交付ができないことに対する苦情・要望等
令和3年度 3,742件
令和4年度 9,166件

■ 苦情の具体的内容
・国を挙げて活用していこうとしているツールなのに、名古屋市民がコンビニでマイナンバーカードを利用する何が問題なのか。
・他都市より名古屋市に引っ越してきたが、コンビニ交付について名古屋市が非対応であることに驚いた。すぐにでも導入してほしい。
・有給休暇を使って区役所まで行かないと証明書が取れないのは市民サービスが悪すぎる。
・多くの市民が住民票のコンビニ交付を希望している。
・他の多くの市町村が導入できて名古屋市ができないのはなぜか。

これら苦情に対して、名古屋市は以下のように説明している。

■ 「コンビニ交付未対応理由の説明(スポーツ市民局)」
本市ではコンビニ交付の実現に至っておりません。
コンビニ交付は、マイナンバーカードを利用し、公的個人認証により厳格な本人確認を行うもので、個人情報漏えいが生じない仕組みであると認識しております。また、運営団体にも改めて確認いたしましたが、コンビニ交付による個人情報漏洩は生じていないとの回答を受けております。
コンビニ交付の実施のためには、既存システムの改修等が必要となり、その経費について、毎年予算要求しておりますが、予算編成における市長判断の結果として認められない状況です。引き続きコンビニ交付の実現について取り組んでまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。

「マイナンバーカードは時代遅れ」「人間に番号をつけるのは牛と同じだ。人間を統合的に管理するのはおかしい。」これが河村市長の言い分だが、すでに、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者番号、運転免許証番号など、個人個人に番号が振られており、マイナンバーだけけしからんというのは理解に苦しむ。

さて、マイナンバーカードの将来構想については、「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」で具体的な議論が進められている。その中で、「オンライン市役所構想」として、マイナンバーカードを基盤として行政手続きのオンライン化を推進することを提言。引っ越し時の転入・転出届や、子育て・介護・年金・災害などに関する申請をオンラインで手続き可能にするとともに、従来、紙で行っていた行政からのお知らせをスマートフォンへの通知で代替することなどを目指すとしている。しかしこれらのオンラインサービスは、名古屋市では見送られる公算だ。

従来、区役所窓口で市の職員がおこなっている業務のいくつかがオンラインでできるようになれば、市民の利便性が大きく向上するとともに、窓口職員も減少するなど、行政改革につながる可能性もある。窓口で削減できた職員を子育てや介護、障害福祉、生活保護、就労支援などの相談業務に振り向けることができれば、住民に寄り添ったサービスもさらに期待できそうだ。

異常なまでのマイナンバー問題への市長の執着。9月議会総務環境委員会では私もこの問題を取り上げた。河村市長が代表をつとめる減税日本ナゴヤ所属議員の中にも、市長の政策に異論を唱える者も出てきたものの、河村市長には偏った自説を曲げる気持ちは全くなさそうだ。
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横井利明
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