地価公示とは、国土交通省の土地鑑定委員会が、地価公示法に基づいて、標準地と呼ばれる標準的な地点を選定し、鑑定評価員(不動産鑑定士)による鑑定評価をもとに、毎年1月1日時点の標準地の1平方メートルあたりの正常な価格を決定し、3月に公示するもの。今年は3月26日に発表された。
それによると、名古屋圏における地価公示は、景気が緩やかに回復している中、住宅地の平均変動率は2.8%と3年連続で上昇、商業地の平均変動率は 4.3%と3年連続で上昇、工業地の平均変動率は4.1%と3年連続の上昇であり、いずれも上昇率が拡大している。
この地価公示を基に、3年に一度、固定資産税の評価替えを実施しており、令和6年度名古屋市予算において、固定資産税収入が大幅に上昇する根拠の一つになっている。なお、固定資産税は負担調整措置により、段階的に上昇することになる。
さて、前回の固定資産税の評価替えが行われた令和3年の地価公示以降の上昇率を各区ごとにみてみると、住宅地における上昇率第1は中区の21.6%、第2位は東区の11.4%、第3位は南区の10.5%となっており、この3区の上昇率が名古屋市内でも突出している。
現在、名古屋市の人口動態は、中区や東区など都心部への人口移動が進んでおり、緑区や天白区、名東区など従来人口が増えてきた地域においても人口減少が進んでいるのが実情だ。しかし、人口が減少している市内周辺部に位置する南区における地価公示価格の10.5%の上昇は異様であることから、名古屋市を通して不動産鑑定士にこの原因を確認していただいた。
その結果、「南区は津波災害警戒区域の指定を受けていることもあり人気がないとされてきたが、山崎川や天白川など河川の津波・高潮対策が大きく進み、安心感が生まれたことで地価公示価格が大きく上昇している。」「南区は割安感がある。」「鉄道駅も多く利便」など、地価公示が大幅にアップした理由について、ご意見をいただいたところ。
山崎川、天白川、大江川などの津波・高潮対策を積極的に進めてきたほか、南区の文化やスポーツ、商店街ににぎわいづくり、鉄道駅の利便性向上などの魅力づくりを精力的に進めてきたことが地価公示という方とで評価されたものであり、進めてきた施策に対して力強い後押しをいただいたものとありがたく思っている。
一方で、地価公示価格に基づき固定資産税(土地分)が課税されることから、固定資産税についても、負担調整措置を経て上昇することになる(涙)。
〇 地価公示変動率(住宅:令和2→5年)
1. 中区 21.6%
2. 東区 11.4%
3. 南区 10.5%
4. 熱田区 7.9%
5. 中川区 6.2%
6. 港区 5.8%
7. 千種区 4.8%
8. 緑区 4.2%
9. 西区 4.1%
10. 北区 3.8%
10. 名東区 3.8%
12. 瑞穂区 3.6%
13. 守山区 3.5%
14. 中村区 3.4%
15. 天白区 2.4%
16. 昭和区 1.9%
〇 住宅地の平均価格(令和5年度)
1. 中区 1,160,600円
2. 東区 525,500円
3. 昭和区 306,300円
4. 千種区 277,600 円
5. 瑞穂区 261,800円
6. 熱田区 242,800円
7. 名東区 223,100円
8. 中村区 196,600円
9. 西区 191,600円
10. 天白区 185,300円
11. 北区 177,500円
12.緑区 160,600円
13. 南区 156,200円
14. 中川区 142,500円
15. 守山区 130,800円
16. 港区 117,300円
名古屋市 212,900円