平成30年7月、健康増進法の一部を改正する法律が成立した。これにより令和2年4月より、飲食店を含むほとんどの施設が原則屋内禁煙となる。この法改正で事業者だけではなく市民・県民においても、望まない受動喫煙を防止するための取り組みが求められ、受動喫煙対策がマナーからルールへと変わる。
本市においても、成長期にある子どもたち(18歳未満)に特に配慮するため、「子どもを受動喫煙から守る条例(仮称)」の検討を進めている。12月4日には財政福祉委員会所管事務調査を実施。同条例の考え方、検討状況について集中的に議論をおこなった。
まず、基本的な考え方として「子どもの周囲では、屋内・屋外にかかわらず、タバコを吸わない。」
この点については議論の余地はない。当然、法においても学校・児童福祉施設等においては、敷地内禁煙とされ、小学校や保育園、幼稚園では子どもたちは受動喫煙を影響を受けることはない。
今回、健康福祉局が新しい概念として条例に含めようとしたのが子どものいる家庭における「三次喫煙」の防止。たばこの煙や化学物質は、喫煙者の毛髪や衣類、部屋や自動車のソファやカーペット、カーテンなどの表面に付着して残留することから、三次喫煙が発生するとされている。ただ、厚生労働省「喫煙の健康影響に関する検討会報告書」では、「三次喫煙による健康影響を示す疫学的調査報告は見当たらない」とされ、そのエビデンスは明らかではなく、条例の評価もあいまいとなりかねない。「国内初」にこだわる名古屋市の意欲は認めるものの、国においてすら「疫学的調査報告は見当たらない」とされる条文を加えることには懐疑的。なお、私自身は子どもと同居する家庭では「家の中ではタバコを吸わない。」が原則だと考えている。
今後、「子どもを受動喫煙から守る条例(仮称)」に対するパブリックコメントを12月から募集し、令和2年4月からの条例施行を目指す。