ベンツ社製機械式はしご車の修復作業調査

昭和10年式メルセデス・ベンツ社製機械式はしご車の修復作業をボランティアで進めていただいている中日本自動車短期学校(岐阜県加茂郡坂祝町深萱1301)を訪ね、修復の現状について、同大学山田弘幸学長、自動車工学科清水啓司教授らから聞き取りをおこなった。

■　清水教授からの聞き取り
・およそ80%程度の修復は終えている。
・組み立てては不具合が見つかり、再びばらして部品ひとつひとつについて修復作業を行うなど、大変な作業を行っている。
・クラッチなどの中に組み込まれているカーボンについては、原型がわからないほど摩耗や破壊が進んだものもあり、元の形を推測しながら、部品の復元を進めるなど、試行錯誤の繰り返しを進めている。
・卒業生も修復作業に協力。
・自動車の原型について学ぶ機会は少なく、生徒にすばらしい学習の機会を与えていただいてありがたい。

修復作業を進めている教授の皆さんや、学生の皆さんに対し、名古屋市民を代表してお礼を申し上げるとともに、再びベンツ社製はしご車が公道を走ることができるよう、修復作業のお願いを申し上げた。

長らく名古屋市消防職員がボランティアで保存してきたはしご車は、まさに消防職員の魂。昭和初期、市民の皆さんがわが町の防災力向上のため寄付を募って購入した歴史そのものが、名古屋市の消防・防災の歴史でもある。ベンツ社製機械式はしご車の修復を実現し、市民の防災に対する意識の向上とともに、本市の防災の啓発にもぜひ役立てたい。

また、修復後は文化財として登録できるよう関係者との調整を進めたいと考えている。

■　ドイツのベンツ本社に問い合わせたところ…
これだけ古いベンツ社製機械式はしご車は世界に現存していないとのことであり、さらに部品等もなく、ベンツ社では修復ができない。