令和2年度予算(7) 紙資源一括収集の実証実験/環境局

環境局における令和2年度予算の目玉は、何といっても「紙資源一括収集の実証実験」。本会議における質問を受け実証実験として予算化された。

平成11年2月に「ごみ非常事態宣言」を発表して以降、市民・事業者との協働による徹底した分別・リサイクルの取り組み等により大幅なごみ減量を達成した名古屋市。当時、全国の自治体のトップを切って取り組んだ「紙製容器包装」「プラスチック製容器包装」のリサイクル事業は、松原武久前市長の強力なリーダーシップと市民の皆さまの協力で、ごみ減量先進都市名古屋の中核事業のひとつとして取り組みが進められた。

しかし、全国の自治体の中で、「容器包装リサイクル法(略称:容リ法)」に基づき、日本容器包装リサイクル協会と契約を結び、紙製容器包装のリサイクルに取り組んでいる自治体はほとんどないのが実態だ。政令市に限って言えば、名古屋市と相模原市の2市のみが協会と契約している。

■ 容器包装リサイクル法はわかりづらい
「容リ法」における「容器・包装」の定義が市民からわかりづらい。同じ素材、同じ形状でも、法の対象となるものとならないものがある。

・商品そのものは対象外:家庭用使い捨て商品(ラップ、弁当パック、紙コップ等)
・サービス業等の容器包装は対象外:クリーニングの袋、病院の薬袋等
・付属品は対象外:トイレットペーパーの芯、飲料パックのストロー等

容器包装リサイクル協会による取引の対象外が生じる理由は、法による再商品化委託料を負担していない業種があるためだが、やはり「素材別リサイクル」に改善すべきだろう。

そこで、本会議でこの問題を取り上げ、紙製容器包装のみの収集をあらため、「紙資源一括収集の実証実験」をおこなうこととした。実証実験では、薬の袋やトイレットペーパーの芯、雑がみ等も一括して紙資源として収集する。


■ 紙資源一括収集の実証実験
1. 趣 旨
 社会情勢の変化に対応し、分別・リサイクルを推進するためには、「分かりやすい・分けやすい」分別区分にする必要がある。「紙製容器包装」及び「雑がみ」を合わせた『紙資源』での一括収集化を検討するにあたり、排出されるごみ及び資源の量、市民の意識を調査するため、実証実験を行う。

2. 実証実験の方法
 令和2年6月の1か月間、対象学区において、従来の「紙製容器包装」の収集日に、「雑がみ」を合わせた『紙資源』を排出していただき、内容物の組成調査やアンケートを行う。 『紙資源』の分別区分として、紙製容器包装に含まれる製紙原料とならない防水加工品の有無について2つのパターンを設定し、各学区で1パターンずつ計2学区実施した結果を比較検証する。

3. スケジュール
・4~5月
チラシのポスティング、地域説明会による事前周知
・6月
 分別区分変更のモデル実施
※実施前後に組成調査を行う(5~8月)
 ・7~8月
 モデル実施終了の周知及び意識変化についてアンケート実施

■ 容器包装リサイクル法とは
「容器包装リサイクル法(略称:容リ法)」は、家庭から出る容器包装廃棄物のリサイクル制度をつくることにより、ごみを減らし、資源を有効に利用するためにつくられた法律。「容リ法」においては、「容器」「包装」を利用して商品を販売する事業者や、容器を製造・輸入する事業者は「特定事業者」として「再商品化の義務」を負う。

「容リ法」が対象としている「容器」「包装」とは、商品を入れたり包んだりしているもので、中身を出したり使ったりすると不要になるもの。その種類は、ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装 、アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボール。ただし、アルミ缶、スチール缶、紙パック、段ボールは、容リ法ができる以前から市町村が収集した段階で、有価で販売されリサイクルされているため、企業にリサイクルする義務はない。
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横井利明
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