なかなか進まない名古屋市のアセットマネジメント (3)

私は名古屋市のアセットマネジメントが進まない最も大きな理由として、「アセットマネジメントを通してよりよい社会を築こう」というアプローチの欠落が大きい。

■ 市営住宅
セーフティネットとしての公営住宅の果たしてきた役割は大きい。一方で、公共施設の約半分にも及ぶ482万平方メートルを占める市営住宅を、人口減少社会を迎える中、将来にわたって名古屋市がこのまま維持管理していくのは困難だ。

また、社会的に支えなければならない「高齢者」「障害をお持ちの方々」「外国人」が公営住宅住民の大半となっている中、すでにコミュニティが成立せず、自治活動が行き詰ってしまった自治会は少なくない。「公営住宅」の名のもと、社会的に支えなければならない方々を1か所に囲い込む現在の公営住宅制度は限界にきている。

例えばアメリカのある州では、民間マンションの一定割合を公営住宅とすることを義務付けているところもある。自治体で公営住宅部分の整備費を補助し民間マンションの一部を公的住宅とすることにより、セーフティネットとしての住宅機能は保持しつつ、維持管理は民間にゆだねるような考え方もあってもいい。用地の確保から建設、維持管理や修繕まですべてを自治体で行う時代では少なくともないだろう。特に、都心部においては、容積率のボーナスとともに補助制度を設けることで、公的な住宅整備が進む可能背がある。とりわけ、都心部にある公営住宅用地は、民間再開発の種地として活用したいもの。

また、既存住宅である民間の空き家を公営住宅として活用するような考え方も今後成り立つかもしれない。

ハコモノである公営住宅の所有から機能重視への転換、官民の役割分担など、公共施設の半分を占める公営住宅の改革は本市アセットマネジメントの成否を握っている。

■ 小学校や小中学校の統廃合
本市公共施設の約4分の1、約267万平方メートルにも及ぶ小中学校の建物については、児童数が大幅に減少している一方で、ほとんどといっていいほど統廃合は進んでいない。今後、さらに児童数が減る見込みであるにもかかわらず、保護者や地域住民に向き合い議論しようとする姿勢はあまり感じられない。

もちろん、「母校」という言葉の通り学び舎である小中学校への愛着は誰しもあり、統廃合への抵抗は極めて大きい。一方で、児童数の減少によりそもそも学校教育が成り立たなくなったり、クラス替えができないことでさまざまな問題が生じているのも事実。

さて、小学校を統廃合して生み出される維持管理費や職員の人件費等は年間約2億円。3小学校を1校に統廃合して生まれた4億円のうち半分程度を利用して、英語を話すことができる外国人の常勤職員を雇用し日常的に英語で生活する機会を生み出すなど先進的な教育を行ったり、小学校に文化・芸術・スポーツなど専門的な教育に触れるための人材を配置したり、防災拠点である小学校の体育館に冷暖房を設置したり、地域の方々にも使いやすいようにエレベーターを設置したりするなど、統廃合で浮いたお金の一部でも子どもたちや地域に還元するような仕組みを住民参加で考えれば、市民の理解もより進む可能性がありそうだ。

また、小・中学校で統廃合を行った場合には、体育館の大きさや機能を向上させたり、中学校スクールランチを廃止し小学校と同様に直営型の給食を導入したり、場合によっては小中一貫教育を実現したりするなど、従来はなかなかできなかったもののより望ましい教育が実現できる可能性を模索できるかもしれない。

いずれにしても、統廃合で生み出された財源すべてを健全化に使うのではなく、子どもたちにとってより望ましい教育実現のために住民参加で財源を利用するといった考え方を持たない限り、小学校または小中学校の統廃合に対する理解はなかなか進まないだろう。

統廃合の財源の一部をよりよい社会づくりのために利用するといった一つのアプローチが、アセットマネジメントに対する負の意識を変えるきっかけになるかもしれない。
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横井利明
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