財政調整基金が激増の133億円!!

名古屋市が新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う支援策を積極的に打ち出した結果、年度当初には100億円まで積みあがっていた財政調整基金(名古屋市の貯金)が、6月補正予算で99.5%の減の5,200万円まで激減し市民の不安の声が上がっていた。9月議会においても122億円もの新型コロナウイルス感染症対策補正予算を組んだ結果、財政調整基金は133億円まで激増する。

えっ???

なぜ増えるの?

財政調整基金が残り5,200万円まで激減するとの報道のあった6月、当時の中日新聞(6月24日付)にも愛知大学地域政策学部の菊地裕幸教授(地方財政学)のコメントとして、「かなり急激に財調が減っている印象。第二波の感染拡大が起こった時『財源がありません』では済まず、どのように対処するか事前の検討が大切だ。」との指摘がなされるなど、名古屋市の財政状況は相当深刻だったはず。では、なぜ、4月臨時会、5月臨時会、6月定例会における感染症対策補正予算で激減した財政調整基金が、なぜ9月議会になって一気に膨らんでしまったのか。

そのかぎは「つなぎ資金」。市はもともと、新型コロナウイルス感染症感染拡大に伴う支援策の財源として国の資金である新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や決算剰余金(前年度の余ったお金)の活用を考えていた。しかし、おおよその額しか判明していなかったため、100億円ある財政調整基金を補正予算を組む上での数字上の「つなぎ資金」として活用していたもの。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の額や決算剰余金の額が明らかになった今、財源更正をおこなったにすぎない。

ただ、取り崩す予定のなかった財政調整基金をあたかも取り崩すかのように補正予算を組んだ点については、実態とかけ離れているとの指摘を受けかねず、他都市のように「交付金がまもなく入ってくるという前提で予算措置」すべきであったのではないかとの疑問は残る。

なお、年度当初、財政調整基金の年度末現在高は約100億2,000万円あり、4月補正予算以降、補正予算の財源として財政調整基金を活用してきたが、6月には令和元年度の決算剰余金の2分の1を下らない額の42億6,000万円を編入し、そして9月補正予算での財源更正と事業費の減額により、財政調整基金の取崩しを約90億円減額した結果、9月補正予算後の財政調整基金の年度末現在高見込みは、約133億1,000万円の見込みとなっている。

今後、コロナ第3波があったとしても、従来通りその対策財源は国が措置すべきものであり、財政調整基金が新型コロナウイルス感染症対策で大幅に減額することはないとみている。
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横井利明
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