令和2年12月1日に行われた名古屋市会本会議で、横井利明は「GIGAスクール構想への対応」と題し、本会議個人質問をおこなっている。この中で、「操作ログを取得し児童・生徒を常時監視している」「市民や保護者に対する説明が十分できているのか」などの問題点を指摘していたが、質問から6か月余が経過した今も、問題が放置され、何ら改善が進んでいないことに驚愕した。
■ 横井利明「GIGAスクール構想への対応」
(1) 新型コロナウイルス感染症が拡大し、小中学校が休校となっても子どもたちの学びを止めないために、国が全額負担して令和2年度内の配備を求めていたタブレットの配布が、政令市で名古屋だけが配備できず、遅れたこと。
(2) 子どもたちのタブレットの操作日時やインターネットの閲覧履歴、ソフトの利用履歴、位置情報などの操作ログを保護者や児童生徒に無断で収取するなど、子どもたちの活動を「常時監視」するという異常な対応を全国で唯一名古屋だけがしていること。
以上の2つの柱で質問は構成されていたが、実はこの2つの柱は密接に関連している。
文科省は、教育情報のセキュリティーに関するガイドラインを、自社の中で情報システムを保有し、自社内の設備によって運用するセンターサーバー方式などの「オンプレミス」ではなく、システムを短時間で構築することができ、急なリソース増減にも柔軟に対応するだけでなく、セキュリティ強化や災害対策の実現に加えて、テレワーク環境の整備もコストを抑えながら進めていくことができるクラウドサービス利用を前提とした、いわゆる「クラウド・バイ・デフォルトの原則」に改定している。
しかし、名古屋市教育委員会は、自らセンターサーバーを用意するオンプレミス環境からの転換を文科省が求めていたにもかかわらず、全国で名古屋市だけがなぜかセンターサーバー方式にこだわったことで、その構築に時間がかかりタブレット導入が1年遅れたというのが真実だ。
当時、センターサーバー方式にこだわった理由をうかがうと、「子どもたちのタブレットの操作ログを取得し子どもたちを守りたい。」との理由を述べていたが、もう1つの理由は、ある会社にアドバイスを求めたところ、ある会社から提案があったのがセンターサーバー方式だったと回答している。市教委はある会社が求めた通りセンターサーバー方式を選択し、短時間でその要求に応札できる企業がある会社しかなかったことから、単独入札である会社は26億円の事業を落札した。のちにある会社とは、N社であったことがわかっており、入札の条件をN社の指示通りに決めていたことが分かった。
なんかおかしい。
なお、12月1日の本会議後に行われた教育子ども委員会でもほとんどの委員が市教委の時代に逆行したセンターサーバー方式構築に異論を唱えたが、市教委は入札を強行。落札したN社とセンターサーバー構築のための契約を26億円で結んだ。
全く必要がなかった26億円のセンターサーバー構築費は税金の無駄遣いといってもいいばかりでなく、N社しか応札できないような入札を行った経緯など闇が深そうだ。