児童虐待に取り組む青少年養育支援センター陽氣会が法人化

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青少年養育支援センター陽氣会はあらたに組織を法人化し、10月10日、法人設立記念シンポジウムを開催した。

基調講演をされた羽馬千恵さんは、自らの壮絶な虐待経験を通し、虐待が子どもに与える心理的、身体的影響について、また大人になってからもPTSDや乖離性同一性障害で苦しんでいる方々が多いことを説明された。と同時に、虐待に走る保護者を単に罰するのではなく、虐待に追い込まれる家庭に対する支援を訴えた。なお、羽馬千恵さんは、自らの経験をまとめ、「子どもたちへ贈る虐待サバイバーからのメッセージ」と題し出版している。

羽馬さんの講演は、国や自治体が、児相を中心に虐待があった子どもたちの救出に力を入れている現状から、虐待に追い込まれないような保護者支援のあり方に一石を投じた形だ。羽馬さんの思いを社会全体が負っていく必要を感じた。

さて、「イライラしない子育て法(CPA:Communicative Parenting Approach) 」は、暴力や暴言などの脅し、「チャイルド・マルトリートメント」のような不適切な養育に陥らず、親子間のコミュニケーションを大切にしながら子どもを上手く育てるコツを集めた育児法。青少年養育支援センター陽氣会代表理事の杉江健二さんが開発した。

近年の脳科学の研究により、子育てに関するさまざま場面で、児童虐待を典型としたさまざまな「チャイルド・マルトリートメント(親の不適切な養育)」によって、子どもの脳が物理的に傷つき、学習意欲の低下や依存症、非行、うつや統合失調症などのさまざまな問題や疾病を引き起こすことが明らかとなっている。

そこで、杉江代表理事は、平成2年度の統計開始以来、29年間連続で増加する児童虐待相談対応件数を減らし、すべての親子が笑顔で暮らせる社会の実現を目指して、「イライラしない子育て講座」を日本各地で開催。保護者の子どもへの向き合い方を学ぶ機会を提供している。

また、杉江代表理事は、児童虐待防止活動におけるSIB(Social Impact Bond)を名古屋市に提案している。これからパパママになろうとする方々・子育て中のに家庭に対する支援、不幸にして虐待に至ってしまった方々への支援などを通して、児童虐待件数をこの名古屋から大幅に減らすことで、児童虐待等に係る行政コストを大幅に削減するもの。国内では児童虐待SIBの事例がなく、名古屋市としてもどのようにして対応すべきであるのか判断しかねている状態だが、結果が出なければ行政としてのコストは全くかからないことから、まずは試行的にでもやってみてはいかがかだろうか。

「陽氣会」の法人化、おめでとうございます。
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横井利明
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