給与減額条例案否決

河村市長が、表敬訪問した東京オリンピック女性金メダリストのメダルをかみ、16,000件(10月11日現在)もの苦情が名古屋市役所に殺到した問題で、責任の所在を明らかにするとして、9月定例会に提出されていた市長給与3か月分(150万円)を全額減額する条例案について、名古屋市会は10月12日の本会議で、自民党、民主党、公明党などの反対多数で否決した。減税日本ナゴヤ市議団は賛成した。

議会が否決した一番の理由は、「行政の長と政治家個人の両面の責任がある中、条例という措置で議会が判断を行うのは困難」との理由だ。

総務環境委員会に参考人として招致された愛知学院大の森正教授が「市議会が判断することにわかりにくさがある。」と見解を示した通り、今回の提案が首長としての責任か、政治家河村たかしの責任なのか、河村市長自身に聞いても「自省、猛省、自戒して良いことを行っていく」と答えるのみで明確な回答はなかった。また、「減額以外にも責任の取り方を考えている」と河村市長が答弁するものの、責任の取り方の中身を聞くと、「自省、猛省、自戒して良いことを行っていく」と答えるのみで、やはり明らかにしようとしない。議会側も何とか賛成しようと思っても賛成に至るだけの材料が与えられず、やむを得ず否決に至ったものだ。

また、河村市長の政治姿勢にも不信感が残る。

河村市長が上田新党からの衆議院選出馬を視野に、上田参議院議員をはじめ関係者と名古屋市内で会談をするなど、衆議院への転身を模索していたことは各報道にあった通り。議会に対して11月分、12月分、1月分の3か月分の給与削減条例を提出しておきながら、その一方で、上田新党への合流を模索していたことは、あまりにも不誠実だ。仮に10月19日告示の衆議院選に出馬した場合、告示日当日に自動失職することから、給与減額条例は執行されないことになる。一方で、当選した場合には国会議員の給与は全額受け取ることになり、「責任の所在を明らかにする」としていたにもかかわらず、はるかに多額の給与を受け取る可能性もあった。

こういった反省しているとはとても思えない河村市長の政治姿勢が、市民の皆様や議会の不信をあおった結果の給与減額条例案否決。河村市長は新たな責任の取り方に迫られている。
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横井利明
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