衆院選愛知選挙区で自民11議席には驚いた

今回の衆議院議員総選挙で愛知県内15選挙区のうち、自民は6~9議席どまりとよんでいた私にとって、自民党の11議席獲得というのは正直驚きだった。

この間、毎週のように有権者の投票動向について世論調査した結果を政党や報道機関からいただいていたが、調査するたびに自民党の支持率は下がり、一方で立憲民主党や維新の支持率は上昇していた。それがなぜ世論調査結果を覆し、自民党が接戦の選挙区で競り勝ち、立憲民主党が後退したのか検証してみたい。

■ 日本共産党との選挙協力
立憲民主党と共産党の選挙協力は自民党にとってかなり脅威であったことは間違いないだろう。しかし、「立憲はいいが共産党はね。やむを得ず自民かな」と感想を漏らす有権者は一定数いた。一方、共産党支援者の方々から、「どうしても立憲の候補者の名前を書けなかった。白票で投票した。」という方もいた。

■ 維新が受け皿に
「思いあがっている自民党にお灸を据えよう。」「自民党は説明責任を果たそうとしない。」そういった自民党に対する批判はかなり強いものがあった。こういった自民への批判票は通常であれば二大政党制を目指す立憲民主党に流れるが、立憲と選挙協力している日本共産党への投票に抵抗がある有権者に対する受け皿として、維新が一定の役割を果たしていたことが挙げられる。決して維新に国政での実績があるわけではないが、消去法で維新にという方は少なくなく、立憲に流れる票がせきとめられた。

■ 古本前議員の不出馬
そして、もうひとつはトヨタ労組出身で無所属の古本伸一郎前衆院議員(愛知11区、当選6回)の突然の不出馬表明。選挙地盤が盤石であるだけでなく、極めて優秀な議員であっただけに私も少なからず衝撃を受けた。「カーボンニュートラルや社会保障の財源確保、新型コロナウイルス対策など、山積する課題を抱える中で、対立を前提とする小選挙区にトヨタ労組出身者として出馬することはなじまない。」と不出馬の理由を述べている。投票行動に少なからず影響を与えたのかもしれない。

■ アナウンス効果
「自民党が過半数割れ」といった報道が繰り返し行われたことで、その反動が投票行動に表れた可能性がある。自民党所属議員の危機感もかなりあったようだ。

もちろん、新型コロナウイルス感染症対策の効果が出てきたことで自民党政権への評価があったこと、外交、安全保障に対する安心感、コロナ後の経済対策へ期待などがあったこともあるだろう。いずれにしても、上記の理由は、私の経験に基づく勘に過ぎない。今後、統計学的な検証を経て、なぜマスコミの予想や私たち関係者のヨミを大きく覆すような結果になったのか考察が行われるだろう。
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横井利明
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