軍事同盟と核の選択

 ハノイの米朝首脳会談が決裂した後、北朝鮮は再び核施設の整備を行い、ミサイル発射の準備を進めている。三度目の米朝首脳会談を開催する目途は立っていない。北朝鮮の核兵器が、日本にとって脅威であり続ける状況は変わっていない。 一方、米露は、INF全廃条約を破棄し、新たな軍拡競争が始まっている。中国は、そもそもINF条約の対象にはなっていない。 米ソ冷戦下、ソ連は1977年から中距離核ミサイルSS-20の配備を開始したが、これは西ヨーロッパを射程に収めるもので、西側の安全保障にとって大きな脅威となった。また、1979年にはソ連軍がアフガニスタンに侵攻した。そこで、NATOはパーシングⅡ型とGCLM(地上発射巡航ミサイル)をヨーロッパに配備して対抗した。 北朝鮮の核武装は、ソ連のSS-20配備に相当する。では、日米韓はどう対応するのか。当時のヨーロッパ諸国と同様に、韓国、そして日本にも戦術核兵器や巡航ミサイルを配備すべしという意見もある。トランプ大統領は、同盟国を守ると確約しているが、もし北朝鮮が核ミサイルで韓国や日本を攻撃した場合、直ちにアメリカが核による反撃を行うかどうかは不明である。 その前段階として、まず攻撃された韓国や日本が核を含む兵器で反撃するというシナリオのほうがアメリカにと続きをみる

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