フランスも解散総選挙:マクロン大統領の賭け・欧州議会選挙の衝撃

 6月6日〜9日、EU(欧州連合)の立法機関である欧州議会の選挙が行われたが、右派や極右が過去最多の議席を獲得した。 フランスでは、極右の国民連合(RN)が31.4%の票を獲得し、マクロン大統領の与党連合14.6%の倍以上となった。極右の作家、エリック・ゼムールが率いる右翼政党「再征服」の票も合わせると、約4割が極右票ということになる。 この結果に、フランスでは大きな衝撃が走り、マクロン大統領は、国民議会を解散する決定を下した。6月30日が第1回投票、7月7日が決選投票である。 RN躍進の理由は、他のヨーロッパ諸国の極右政党も同じであるが、政党のイメージ・チェンジである。 政策的には排外主義的な過激な主張を引っ込め、穏健路線へと舵を切っている。たとえばEU離脱論は取り下げている。 この党は1972年にジャン=マリー・ルペンが、国民戦線(FN)という名で創立したが、その極右路線はフランス国民には受け入れられなかった。ところが、今では若者が寄ってくる。まさに隔世の感がする。 2011年1月には、三女のマリーヌ・ルペンが第2代党首に就任し、党勢を拡大していった。2017年5月の大統領選挙では、第一回投票で、マリーヌ・ルペンがトップに躍り出たが、決選投票でマクロンに敗れた。極右を嫌う左翼が中道のマクロンに投票したからである。2022年5月の大統領選挙でも、決選投票では、負けたものの41.5%の票を獲得した。 この党勢拡大の勢いが今も続いているのである。2022年11月には、ジョルダン・バルデラが第三代党首に選出された。彼はイタリア移民の子であり、28歳の若さを誇る。今回の欧州議会選挙では、バルデラはRNの変貌を象徴するイメージの演出に成功した。フ続きをみる

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