被爆者の救済ただちに

 平和の月・8月。いま特に急ぐべきは、「黒い雨」を浴びて健康被害を受けた方々を被爆者として認めた広島地裁判決を、国が控訴しないで早期救済をはかること。これ以上、高齢の被爆者を苦しめてはならないです。

 原告84人全員が認定されたといえ、提訴した2015年から、すでに16人もの原告が亡くなっています。大雨の地域しか援護対象としない線引きをしたことで、これだけの被爆者が声をあげざるを得なかったのです。判決を見ずに亡くなられた方のことを思えば、国は控訴などしてはならない。

 判決は画期的でした。援護対象区域を定める国に対し、それ以外の「より広範囲に降った事実を確実に認められる」と、線引きの誤りを明確にしたのです。原告らの診断書を見れば「原爆の影響との関連が想定される」と判決を下すのも当然で、「黒い雨」による外部被ばくに加えて、付着した食物摂取による内部被ばくまで触れたことも、政府は重く受け止めるべきです。

 思い出すのは2015年3月5日の予算委員会で、広島出身の大平喜信衆議院議員(当時)が認定制度の見直しを求めた初質問。当事者から具体的に聞き取った内容は、傍聴席で聞きながら胸に迫ってくるものがありました。広島選出の岸田文雄外相(当時)にも核兵器廃絶を迫り、前進的な答弁はなかったものの、質問後に岸田外相が大平さんに何やら語りかけていたのが記憶に残りました。

 時間がかかり悔しい思いもありますが、世論と運動、国会質問などが束になっていけば情勢は必ず変わっていく。国は被爆者の悲願に真剣に応えて控訴せず、被爆者援護行政も国家補償の立場で抜本的に改善すべきです。

 そもそも被爆者援護法では「被爆者」とは直接被爆者のみならず「身体に原子爆弾の放射能の影響をうけるようになった事情の下にあった者」も該当するとなっています。広く救済することが法の理念です。核兵器廃絶とともに、大きなテーマとして北海道からも声をあげていきたい。

 【今日の句】これ以上 無用の苦しみ 与えるな
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畠山和也
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